ゼレンカ:作品集〜ヒポコンドリアイ長調
古楽器に完璧にハマっていた時代のアーノンクールによるゼレンカの好演盤。77年ウィーンでの録音。この時点での最先端の古楽器演奏が記録されている。レコードでは盤質の良くなかったこともあり、貧弱に聴こえていた演奏が立派に蘇りそれだけでも喜び。
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モーツァルトでは一貫してコウンセルトヘボウを起用してきたアーノンクールが、初めて手兵コンツェントゥス・ムジクスと録音。しかも反復記号を完全実施。彼はやはり自己の主張を展開したいのだ。オリジナル楽器による全集が完成する日も近いのでは? 1992/01/25 発売
今でこそ市民権を得たかの感があるが、10年ほど前にこれらの演奏を初めて聴いたときは、カルチャー・ショックにも似た驚きを経験したことを覚えている。しかしこの演奏は今でも風化せずに強い説得力を持ち続けており、単なる学究的な方法論を超えているのは明らか。 1993/12/21 発売
モーツァルトはCOE、ハイドンはコンセルトヘボウと、オケの振り分けも絶妙なアーノンクールの〈プラハ〉。COEのためか身軽で、アーノンクール特有の毒気も(しっかりあるのに!)嫌味にならずにソフィスティケートされた万人向き、しかも奥は深い。ライヴ。 1994/02/25 発売
冒頭からアッと驚くこと請け合い。なにせ有名なトランペットの主題がほとんど聴こえてこないんだから。オケを薄く鳴らし、旋律線を軸にした音楽はまるでモーツァルトのよう。古色蒼然とした大巨匠の呪縛とは無縁の演奏だ。版は珍しいノヴァーク第2稿を使用。 1995/09/25 発売
没後300年を迎えたイギリス最大の作曲家パーセルの作品が次々と録音されている。「妖精の女王」もコープマン盤に続いて今年すでに2枚目。アーノンクールの演奏は弾むような独特のリズム感と早めのテンポ設定、充実し歌手陣でひときわ光彩を放っている。 1995/10/25 発売
セレナードやディヴェルティメントは、言ってみれば昔のBGM。でもこんなにビシバシ演奏されては、否応なく耳が音楽に行ってしまったかも。「メシを食ったり女を口説くヒマがあったら、オレの音楽を聴けィ」とばかりの、なかなかに態度のデカイ演奏。 1996/02/25 発売
オリジナル楽器オケの火付け役の1人ともいえるアーノンクール。しかしこの演奏は次なる段階。つまり現代楽器による演奏。彼にとっては応用編だが、最も彼の個性(解釈)が際立ってくる。細部のこだわり以上に“流れ”重視が顕著。「運命」の流麗さに驚く。 1997/05/10 発売
グラーツのスティリアルテ音楽祭でのライヴ録音によるアーノンクールのベートーヴェン全集。オケはヨーロッパ室内o.。基本的にはいつもの勇ましいスタイルで「田園」以外はやっている。この6番と3番が、どうも音楽的に不自然でなじめなかったが、あとの曲は彼の方法論の範囲では成功している。金管・打楽器の強調や、超メリハリも毎度おなじみ。ただしsfの扱いのうまさはあまり例がない。「第9」のテノールソロはブッファっぽくて笑わす。また、どんなエディションを使ったのか疑問を生じる点も少しある。 1997/06/10 発売
ホグウッドたちとはあらゆる意味で好対象となるアーノンクールのハイドン。《ザロモン・セット》が、セットになった。イギリスと大陸側の両方の特質を作品にうまく反映させて“両陣営”から高く評価されていたハイドンだけに、こんなにまとめて聴けるのはうれしい。 1997/06/10 発売