これは名演。この人は実にニュアンスが多彩である。テンポや音量の増減や左右の手のバランスなどを自在に変化させているが、過度にロマン的に聴こえないところが凄い。伴奏も非常に新鮮な響きがする。つくづくこの人は過少評価だと思う。
1974年生まれ、ユダヤ系ロシア人、ヴェンゲーロフの新録音。音の切れ味の鋭さや張り詰めた感じは、ベートーヴェンで非常に効果をあげている。一方、ブラームスでは、もう少し音色に潤いがほしいし、もっと歌い込んでほしい。レパートリーの難しさ。 1998/03/25 発売