ブルックナー:交響曲全集
バレンボイム2度目の全集。鳴らすところは存分に鳴らし、弱い部分はしっとりじっくり歌うという、ひとことで言うとかなりねっとりとした演奏である。前回の全集よりも単純でない点は評価できるが、この独特の暑苦しさに好き嫌いが分かれるだろう。解説の中で指揮者は「素っ気ない終わり方が望ましい」と述べているが、実際はその逆ではあるまいか。かなり効果を狙っていると思われる。
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バレンボイムとシカゴ響の組み合わせの、ベストと思わせるほどに精緻な演奏は、作曲者の目論んだ色彩感をも濃厚に漂わせる。そして続くピアノ作品でバレンボイムのシェーンベルクとの同質性に気づかされる。「音の重さ」として説明付けられている特色が物語を成す。 1995/05/25 発売
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