昭和の名人 古典落語名演集 八代目林家正蔵 一::宿屋の仇討/年枝の怪談
関連音楽
三笑亭可楽の落語に、どうもなじめなかった。子供の頃の話だ。渋さなんていうものが理解できるようになってから、この人の芸が少しずつ面白くなった。もっとも、今だってどこまで“渋さ”がわかっているかは……。それはさておき「うどんや」「反魂香」などは、この人でなければ、と思う。「らくだ」は迷うなあ。志ん生もあるし。それにしても不思議な味を持った落語家だった。 1990/02/21 発売
ひとつの噺を高座にかけるまで、三年以上もかけたという。ノートにきっちりとストーリーを書き、添削を重ね、ようやくあの格調高い“文楽の芸”が完成したのだ。いわば、完成品のみを提供し続けたわけだ。その結果が29席の持ちネタとなった。やはり、なんといっても『明烏』だろう。文楽をしのぐ『明烏』は、まず当分あれわれないと思う。それくらい完成された、至極の芸なのだ。 1990/02/21 発売
“お結構の勝ちゃん”とあだ名をつけられたことからもわかるように、アクの強さで聴き手に印象を残す、というタイプではない。いかにも“寄席芸人”といった感じの「何気ない粋」の世界を歩んだ人だった。寄席というのは演者と客が一体となって、ひとつの世界をつくりあげる場であり、そこにぴったりハマるというのは、これはもう芸人としてある意味では極到に行きついたといえる。 1990/02/21 発売
酒飲みであった可楽ならではの「親子酒」の酔った演技が妙にリアルであるのがおかしい。遊廓を知らない世代にとっては、ちょいとうれしい「文遣い」だが、さしずめ女郎にカモにされる角蔵にでもなれたらと思ってしまう。もわ〜とした口調が特徴の人。 1995/10/21 発売
昭和の古き良き落語を記録したシリーズで、ここでは八代目可楽の庶民的な噺を4編収録。酔っぱらいを演じれば名優だった可楽だけに、そのうまさとそこに漂う哀愁描写は見事だ。昭和20〜30年代の風俗もしのばれる好編集盤。モノラルだが録音状態は悪くない。 1998/01/21 発売
先代が高名すぎてワリをくった感じもあるが、個性的な語り口は一時代を築いた存在だ。酔っぱらいを演じると、なんともすごみがある。「らくだ」の久六、「富久」の久蔵などの酒乱ぶりは、例えば文楽演じる久蔵の明るい酔っぱらいぶりとは好対照である。 2004/03/24 発売
「正蔵」の名で30年間活躍したのち改めて、初代「彦六」となった師の創作のもと、独特の人情ばなしが3つ。笑いをねらった内容でも話芸でもないが、この語り口と心情もって演じられると、その場の光景すら眼前に浮かび、胸をうつ。イイネェ…渋くて、名演だ。 2004/03/24 発売
淡泊というか、派手さのない芸だが、これが江戸風だなと思わせる可楽。「反魂香」の芝居がかった高尾太夫との逢瀬とその後の展開の落差がいい。ちょいと口調が明解ではないひとだったが、病後の高座での「寝床」はゆったりしたテンポで妙に哀しげだ。 2004/03/24 発売
彦六の正蔵といえば怪談噺の名人ということで「牡丹灯篭手提」はもちろん聴きものだが、ここでは平岩弓枝作「笠と赤い風車」が興味深い。新作にも意欲的だったこの人の、明治生まれのモダンな感覚が伝わってくる。こういう個性のある噺家が懐かしい。 2004/03/24 発売
古典落語の演目を、落語史に名を残す名人の話芸で聴く本格シリーズ。現代の演者にも広く継承されているポピュラーな落語。金に困って心中を企てた花魁のお染。白羽の矢をたてられた金三は、まったくいい面の皮で……。 2005/07/06 発売
古典落語の演目を、落語史に名を残す名人の話芸で聴く本格シリーズ。上・中・下と3話に分けて演じられることもある長い話で、独特の語りが人気を呼んだ。「子は鎹(かすがい)」がテーマの、ほのぼの人情落語。 2005/07/06 発売
落語CDの定番「NHK落語名人選」の新ヴァージョン。前の名前は月の家円鏡(つきのやえんきょう)として知られ、襲名後は寄席を中心に活躍し、大御所的存在となった円蔵の落語。 2005/12/07 発売
2009/03/11 発売
2009/03/11 発売
つぶやくような独特の語り口と人間の喜怒哀楽を描き、通好みの噺家として知られる可楽のアルバム。「味噌蔵」は、鳴り物入りで三階節を歌うなど陽気な仕上がり。「子別れ(上)」は、得意な酔っ払いの描写が冴えている。昭和31年、59歳という全盛期の録音。 2009/03/25 発売
物腰が柔らかく、丁寧で明るい口調で、時として金馬を思わせた柳枝(明治38〜昭和34年)の最晩年である昭和31〜34年の音源で、初商品化や初CD化の音源ばかり。いかにも柳枝と思わせる噺の甲府から出てきて豆腐屋の婿になる「甲府い」、空き巣に入って酒を馳走になる泥棒の「締め込み」と間抜けな泥棒が出てくる噺の「花色木綿」、爆笑が続く「野ざらし」では客席の陰でクルマのクラクションが鳴っていたりする。仕返しに女房連を坊主にする「大山詣り」などを聞かせる。今では珍しい噺も演じている。 2009/03/25 発売
名古屋のAMラジオ局、東海ラジオ放送が1974年から25年間にわたって放送した長寿番組『なごやか寄席』の音源をCD化した第1期リリース。八代目林家正蔵による「火事息子」「鰍沢」を収録。 2009/12/16 発売