バートンのアンニュイなヴォーカルは、初めて聴いてから20年が経過した現在でもどことなく魅力があって、しばらくは耳から離れない。この気だるさこそが彼女のアンデンティティだが、こうした味のある歌手が少なくなった昨今に改めて思いを馳せてしまう。
オランダはアムステルダム出身の女性ジャズ・シンガー、アン・バートンのデビュー作。知性を感じさせる比較的淡白な歌いまわしが魅力。冒頭を飾る「捧ぐるは愛のみ」の完成度は極めて高い。 1999/08/21 発売