最後の三大ソナタ?ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第30番、第31番&第32番
最も祝福された全集録音のシリーズ第11作、完結篇だ。現在の日本における演奏家とソフト制作両者の到達点が示された企画というべきもので、欧米の研究成果も凌駕するまでにディープな日本のベートーヴェン研究の実績を、広く世に問うものでもある。
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満を持して開始された仲道のベートーヴェンのソナタ全集。その第1弾はハイドンに捧げられた最初の3作品と素直な滑り出しだ。演奏も、テキストに忠実で響きも細部も十分に彫琢されていながら、同時に窮屈さとは無縁な、感情の赴きに素直に従う自由さを獲得している。★ 2003/12/10 発売
野平一郎の全集完成に続いて、仲道郁代も全集録音を開始。これは彩の国さいたま芸術劇場のベートーヴェン・シリーズと並行して進められている。ピアノを叩かず分厚く鳴らさず、軽く小味な響き。そして多少もたれ気味だがリリカルな音楽作りが特色。 2004/03/10 発売
仲道は今ベートヴェンのピアノ・ソナタ全集に取り組んでいる。本盤はその第3弾で初期の「作品10」の3曲を収録。定評ある彼女のショパン演奏とはタッチも表現もひと味違う。一皮向けた印象で、音楽の成熟度が増しているのは明らかだ。第7番などその成果の現れた好演。 2004/05/26 発売
パワフルなキメは保ちながらも、情のゆらぎに素早く反応して音が潤いを帯び、ホノと色を発する。ベートーヴェンってこんなにエスプレッシヴォな音楽だったかと、その表情のこまやかさに思わず耳が柔らかくなる。第10番が出色だが、畳み掛けない「悲愴」も清新。 2004/12/22 発売
いくぶんゆったりとしたテンポを設定し、一音一音をていねいに弾き込んでいく。アグレッシヴな演奏とは正反対のアプローチで、聴き手を美しい叙情の世界に誘ってくれる。「幻想」のアダージョ楽章で聴かせる優しい音色は、仲道郁代ならではの表現だ。 2005/03/09 発売
仲道郁代のベートーヴェン・ソナタ全集の録音もこれが中間地点。徒にパワーやスケールを追求せず、過剰なドラマ性や思い入れを排除して、作品の素の姿を浮き彫りにすることに成功している。彼女独自のカラーを感じさせる、等身大の落ち着いた佳演だ。 2005/06/22 発売
中堅ピアニストとして確固とした地位を築いている仲道の、ベートーヴェン・ソナタ全集第7弾。中期から後期への入り口にあたる3曲を収録。これまでの録音が、いずれも高い評価を得ている彼女の充実の演奏。 2006/02/22 発売
きわめて緻密な仕上がりで、いかなる強奏でも響は濁らずすべての声部がクリア。デュナーミクも各曲の性格に合わせ使い分けられている。また全編はたおやかとも言うべき味わいに貫かれているのが特徴だ。遅めのテンポをキープして歌われるop.53のロンド部分は聴きもの。★ 2006/06/21 発売
今までの9枚がすべて高く評価されているが、このハンマークラヴィーアはさらなる高みへと到達した。自然に流れていながら、細やかな神経が行き届き、どの瞬間にも楽興があふれている。この長大な作品が、少しも長く感じられずに聴いてしまえるなんて、滅多にないことだ。★ 2007/09/26 発売
2007年に完結したベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集が高い評価を受け、日本を代表するベートーヴェン弾きとしての地位を確立した仲道郁代。本作には、その全集からの題名付き3大名曲集を収録。クラシック好きなら必聴だ。 2008/12/24 発売