発売元 : 株式会社フォンテック
音の細部に過度に入れ込まず、情の息づかいに率直にシンクロしてウタと響きを気持ちよく起伏させていく。巧みさや新奇さよりも、うーんシューマンいいね、と音楽に浸らせる好演。懐かしいようだが、シュトラウス2楽章の密やかさなど、清新さにも事欠かない。
派手なウケ狙いなどせず、あくまで真摯・誠実に演奏をする。渋いといえば渋いスタンスではある。ではマジメなだけが取り柄の退屈な演奏かと言われれば、そうではない。職人的な精密さを積み重ねた末に、自然な音楽が湧き上がる。それこそが非凡なのだ。
大谷淳子のソロ・デビュー・アルバム。大谷はパリとジュネーヴで研鑽を積み、二つのオーケストラの首席も務め、スイスを拠点に活動する。意欲的なデビュー作で、繊細で美しい音を持っている。作曲家個々の音色感なども的確に出している。ピアノがまた表情豊かで、なかなかいいアルバムだった。
70年、ヴィエール室内合奏団として創設以来40年、関西フィルは記念すべきアルバムを完成させた。指揮は関西フィルを率いて10年の飯守泰次郎。内声部まで気配りされた室内楽的な響きが特長で、飯守は団員の意欲を巧みに引き出し、まさに職人芸のような指揮振りを見せている。
朴葵姫(パク・キュヒ)は韓国生まれのギタリスト。日本で学びウィーン国立音楽大学在学。ギター大国である日本の技術を十全に習得したのがうかがえる演奏だ。マンゴレやレニャーニ、タレガなどの玄人受けする曲を軽々と快演。中でもスカルラッティは絶品。有望な新人である。
男声合唱による林光作品集という、実に嬉しい企画。頑張って歌っている男子高校生には最大級の賛辞を送りたいが、いかんせん作品の持つ高いハードルはさすがに超えられなかった。音程・歌唱ともちょっと苦しめ。独唱パートも、専門家に委ねることで、良い化学反応が期待できたはず。
保育現場の先生たちの声によって誕生した、“ごっこ遊び”に使える効果音集。「お化け」「恐竜ワールド」「海底探検」「ジャングル探検」「お祭り」などなど、本作一枚に欲しかった効果音が凝縮されている。
児童と大人が思いを共有できる歌。そんな、熱いメッセージにあふれる詞曲が教育現場に支持されての第2集は、「未来への地図」を除いて、すべて二部合唱。演奏団体も3団体に増えた。ここで歌っている子供たちが、未来のある日にふと思い出すだろう言葉たちがまぶしい。
全音楽譜出版社の楽譜に完全準拠したシリーズの第2巻、ピアノ教則シリーズの第9巻となるCD。神野明らの的確な模範演奏と、監修者(神野明、藤原亜美)の分かりやすい解説など、学習者にも指導者にも役に立つ一枚。