発売元 : 株式会社フォンテック
朗々と響く声で凛然と歌い上げた日本の歌。私たちが心の引き出しに仕舞い込んだ懐かしい旋律が堂々たる恰幅で示される。「荒城の月」など古武士の魂魄が吟唱するかのごとき趣だ。日本歌曲の表現としてはきわめてユニークながら、聴く者の心を掴む真摯な歌唱である。
発売元
株式会社フォンテック“架空の祭り”だというシアター・ピース風の「合唱のためのコンポジション第8番」、絶対的音高がなく、リズムと相対的な音の高低だけで書かれた“しゃべる”合唱曲「4つの絞首台の歌」ときて、ブラームスが“民謡”の世界への橋を渡す。自作自演の域を大きく超えたプログラムの妙、歌手たちが熟した芸で応えるさまに、ただ脱帽。合唱ファン必聴。★
陸上自衛隊の吹奏楽団は、各部隊やら師団やらとにかくたくさんあるのだが、中央音楽隊は、そのトップに位置する存在である。そんなエリート集団のベースとなっているのがマーチである。とにかく上手いのである。バシッと決まって清々しい。平和主義者でも、つい心が浮き立ってしまうのだ。
シンプルな作品は、それゆえに作曲家の持てるアイディアや技量がエッセンスのような形で示されることが多い。ここに聴くカバレフスキーの「こどものためのピアノ小曲集」もそうだろう。軽妙かつ機知に富み、それでいて奥行きのある世界を感じさせる。
複雑な声部やリズム、装飾音、アーティキュレイションなどを丁寧に弾き分けつつ、アゴーギクを駆使してドラマティックにバレエの世界を描き出そうとする。盛り沢山で内容の凝った選曲は、バレエの名旋律集程度に留まるものではなく、バレエ曲を素にした難技巧作品集となっている。
発売元
株式会社フォンテックこの曲に流れる重くほの暗い情感を際立たせた録音。秋山は広響のアンサンブルを鍛え上げながらも決して機能的に整わせすぎず、いくぶん土臭い響きを残してえも言われぬロマンティックな情緒を醸し出す。団員一人ひとりの迸り出る熱気が感じられる演奏である。
情感の罠にはまりやすい三善+谷川コンビの作品が、少し距離をおいて冷静にうたわれていることが、この盤の大きな魅力といえよう。山田和樹のユニバーサルな音楽性、プロ合唱団らしい透徹した歌唱力が、“熱い”作品群をスタイリッシュな境地へと誘おうとするさまに、思わず襟を正したくなる。