発売元 : 株式会社フォンテック
シンプルな作品は、それゆえに作曲家の持てるアイディアや技量がエッセンスのような形で示されることが多い。ここに聴くカバレフスキーの「こどものためのピアノ小曲集」もそうだろう。軽妙かつ機知に富み、それでいて奥行きのある世界を感じさせる。
複雑な声部やリズム、装飾音、アーティキュレイションなどを丁寧に弾き分けつつ、アゴーギクを駆使してドラマティックにバレエの世界を描き出そうとする。盛り沢山で内容の凝った選曲は、バレエの名旋律集程度に留まるものではなく、バレエ曲を素にした難技巧作品集となっている。
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株式会社フォンテックこの曲に流れる重くほの暗い情感を際立たせた録音。秋山は広響のアンサンブルを鍛え上げながらも決して機能的に整わせすぎず、いくぶん土臭い響きを残してえも言われぬロマンティックな情緒を醸し出す。団員一人ひとりの迸り出る熱気が感じられる演奏である。
情感の罠にはまりやすい三善+谷川コンビの作品が、少し距離をおいて冷静にうたわれていることが、この盤の大きな魅力といえよう。山田和樹のユニバーサルな音楽性、プロ合唱団らしい透徹した歌唱力が、“熱い”作品群をスタイリッシュな境地へと誘おうとするさまに、思わず襟を正したくなる。
バルセロナ・ギター・コンクールで優勝した、知る人ぞ知る新鋭ギタリスト。まず驚くのは、その音色の美しさ。ゆったりめのテンポ設定で丁寧に弾かれていくが、推進力が非常に大きいのでぐいぐいと引き込まれてしまうのだ。没後100年にふさわしい優れたアルバムとなった。★
平安中期(嵯峨天皇の在位期・809〜823年)の雅楽を演奏する長谷川の試みは、実践的な考古学といった趣だ。楽人ではなく殿上人が演奏し、龍笛が主旋律をとるなど近代雅楽と楽器編成も異なっていたという。我々が知る雅楽とは異質な響きがそこにはある。
ブラス・バンドのメッカ、イギリスの近代作品集。だが、有名曲を並べた単なる名曲集ではなく、“中音”の持つ豊かな表現力が満喫できる作品8曲を選んでいる。吹奏楽ファン、関係者も一度は聴いておくべきアルバムだ。
札響が奏でる北欧の響きはどこかさらりと端正。民族への矜持がかぶさる物語世界の重みが、ともすると滅入りを喚ぶシベリウスも、粘度を抑えて音楽の形が、ス、と浮かび上がる。尾高→イギリス→北欧という“えにし”のゆえか。グリーグの淡彩な抒情もいい。