発売元 : 株式会社フォンテック
外山の作品は、確かにその指揮活動ほどには知られていない。これは60〜80年代の作品。まず聴こえてくるのはオケの手慣れた扱い。次に典型的な民族的素材、音楽の手慣れた定石。ある種、職人的な作曲手腕。でも“日本の国民音楽”ってこういうの?
こんなに若い世代の人がフレッド・アステアを知ってて、彼のミュージカルの曲で1枚のアルバムを作ろうと考えるとは意外。アステアは非常に洗練されたダンサーだったけれど、鈴木のギターで聴くその音楽は洗練の極み。地味な仕上がりだが、美しい。
「水のいのち」は合唱経験者なら一度は歌ったことがあるはずの、超ポピュラー曲。作曲者の指揮なら、やはり興味津々……。はっきり言うと、84歳という高齢のためか、どれもたっぷりし過ぎてもたつく。詩を大切にする方向性も行き過ぎ。合唱団は大健闘。
狂言のCDというのにジャケ写のファンキーぶりに一瞬ビビルが、聴けば楽しいハイパー狂言。正義の味方が京から武蔵へ、新幹線に乗りこんだりテニスにゴルフ、はたまた太平洋をひとっ飛び……。背筋伸びがちな国宝芸能ではない、抱腹絶倒の町人芸能がここにある。
音大受験生にはお馴染みのコールユーブンゲンはそもそもドイツで合唱練習のために作られた。音程感覚やリズム感などを発声とともに身につける目的だから、このCDは合唱団員の自習用などにもOK。ただ移動ド唱なのが良いのか否か? これは難しい問題。
自身がクリスチャンである高田三郎は宗教音楽も多数書いている。これはカルメル会御告げの聖母修道院で、正式に取り入れられ日々の祈りとして定着したひとつの形を聴かせてくれるもの。祈りと労働の修道院生活が、心の込もった歌の中から浮かんでくる。
「オケで吹いている茂木さんってこんなにいい音してたっけ?(失礼!)」と思えるほど、このCDは素晴らしい。音に艶と華やかさとチャーミングさがある。四重奏曲以外は編曲ものだけれど、どれもオリジナルのように聴こえるからモーツァルトは不思議。