1990年3月発売
名演集名演集
小さんはうまい。江戸っ子だね、えぇっ。はぎれのよさ、べらんめえ口調の鉄火な感じ。緩急の呼吸。間の取りかた。落とし噺という落語本来の軽みってものを円生のような演出臭さを感じさせずに語れる、いまや数少ない人になっちまったなあ。面白い。
九代目 桂文治名演集一九代目 桂文治名演集一
“留さん”の文治は、寄席落語の楽しさを教えてくれた。ナンセンスの笑いに徹した、飄々とした味は今思い出してもクスッとくる。「今戸焼」の改作(怪作?)「俳優の命日」や「大蔵次官」などの珍なる作品も聴きたい。トボケたアナクロニズムがうれしい。
二代目 三遊亭円歌名演集一二代目 三遊亭円歌名演集一
先代円歌は新作も古典もこなした、レパートリーの広い噺家だった。「呼び出し電話」は先代金馬の作だが、円歌によって新作ものの代表として知られる。「七段目」は忠臣蔵ものの傑作で、円歌の十八番。明るい芸風、リズミカルな語りが魅力だが、女性を演じると不思議な色気を感じさせる。(二)に歌奴(後に圓歌)の真打昇進披露口上を収録。
古今亭今輔名演集古今亭今輔名演集
“お婆さんもの”で昭和30〜40年代に一世を風靡した今輔。若いころに円朝ゆずりの人情噺をしっかり勉強しただけあって、“新作”でも奥行きのある芸を聴かせてくれた。「ラーメン屋」は有崎晩(柳家金語楼)作の、お婆さんシリーズの代表的な作品だ。