嘘というアリ一匹見逃さない、そんなパンクの苛酷さや誠実さを、返す刀で自らを切りつけながらも歌にするザ・スター・クラブ。その目の醒めるようなスピード感と一体感はキャリアの勝利。ある種、世相史のような要素も持ち合わせている。
この『邦楽舞踊シリーズ』に収録されている伝統音楽作品は、人形浄瑠璃や歌舞伎のための音楽として発展したものだが、明治以降盛んになった日本舞踊でも広く愛好されている。全60点に今日人気のある大半の曲が収められていて、邦楽愛好家にはもちろん、日舞の専門家にとっては貴重なものであろう。最近の演奏とは一味違った古き良き時代の雰囲気を伝える名演奏が含まれているのも魅力。たとえば長唄の吉住慈恭と稀音家六四郎、芳村五郎治と杵家栄次郎のコンビ、そして常磐津菊三郎の三味線。