音楽むすび | 1998年10月発売

その昔「A列車で行こう」などのジャズも歌っていた美空ひばりの久しぶりのジャズ系スタンダード曲集。あくの強いひばり節が時どき顔を出すものの、お手本通りに歌うのがジャズ歌手と思っている連中にはないオリジナリティーに満ちた説得力がある。

昭和を代表する長唄唄方の名手であった七代目芳村伊十郎(1901〜73)による長唄の30枚(全72曲)。現行の長唄を集大成した録音としては他に類を見ないほど充実している。25枚目以降は杵屋栄二、山田抄太郎といった三味線の名人との共演。代々、歌舞伎の舞台で活動する家系だが、美声と巧みな節回しは舞踊の伴奏にとどまらない魅力を湛えている。以前は1曲1トラックだったが、今回複数のトラックに分けたのは長唄や舞踊の稽古用であろう。選曲・演奏・録音と三拍子揃った長唄の定番だ。