2000年1月28日発売
大阪出身、さっぱりした彼女のキャラクターを活かした大阪演歌集。RCAレーベル時代の録音を再編成したもので新曲はないが、いかに彼女が昔から大阪ものを好んで歌っているかがわかる。コブシがしっかり回った正統派の歌で大阪演歌の明るさ、強さが感じられる。
彼女のように浪曲の香りのする張りのある声には、台詞入りのドラマ仕立ての演歌はぴったり。台詞もわざとらしくなく、何を歌ってもどっしりとした貫禄を見せ、安心して聴いていられる。なかでも彼女のカラーがよく出ている(4)などの母子ものは涙を誘う。
ジャズ、ポップスからこういった民謡・俗曲まで歌いこなしていた彼女の音楽の幅の広さには驚かされる。とはいえ演奏は東京キューバンボーイズ、原信夫とシャープス&フラッツ、中村八大トリオなどでどれもモダンな味付けがされており、洋楽ファンも楽しめる。★
朝啄会創立30周年を記念して、梅若朝啄の歌う民謡・歌謡曲とをまとめたベスト盤。前半の民謡編で伸びる喉の程を確認しているだけに、三橋美智也ナンバーを中心に歌う歌謡曲編では、美智也にとってモダン過ぎる冒険作だった(14)(20)は朝啄の歌でも秀逸だ。
サンフランシスコを中心に活動している美人女性ギタリストの新作。全曲オリジナルだが、ポップなサウンドに乗せて、よく歌うギター・ソロがたっぷりと楽しめる。堅実なテクニックと、クリアなギターのトーンが、とても気持ちいい。ユニゾン・スキャットも聴きもの。
いまや日本を代表するベーシストのひとりとなった金澤による2作目。今回はジョーンズと共演したトリオ・アルバムだ。本来は豪快な側面も持っている金澤だが、ここではハート・ウォームでスウィンギーな演奏を連続させる。その懐の深さに感服してしまう。
如月のギター・プレイをジャズ・ギターとして紹介してしまうにはいささかの抵抗がある。それは彼がきわめてオリジナルな音楽感と音楽性を持っているからだ。ジャズの語法を用いた演奏をしていても、如月のプレイからは強い個性がうかがえる。それが本作だ。
ラヴェルの「ボレロ」そっくりだったりする黒沢映画の音楽を枕に、23歳のデビュー作、雅楽的な(3)から、41歳で早世する前年、東洋的発想を追求した(5)まで、西洋と日本との調停や融合を模索し、昭和前半を駆け抜けたユニークな歩みを、充実の演奏で聴く。
テレビのCMでも話題の「G線上のアリア」を含むカーリン・クロッグの新作。ユニークなリード奏者ジョン・サーマンとの共演盤だ。さまざまなジャンルに果敢に挑戦している彼女だが、ここでもユニークなサウンドと澄んだ歌声が絶妙に溶け合い、独特の世界を作り出している。
90年に亡くなった指揮者渡辺暁雄の、没後10周年を記念して初CD化された。これは67年厚生年金ホールで録音され、銘盤の誉れ高かったレコードなだけに、大変嬉しい。渡辺が得意とした北欧ものを、日フィルがゆったりとした温かな流れで応える。
発売元
キングレコード株式会社このCDはすばらしい。65年12月4日、東京カテドラルでのモーツァルトの命日追悼ミサのライブ。同時に典礼の様子も収録されているが、何より演奏が凄い。デビューして間もない若杉弘渾身の指揮。日本でこれほどのモツレクはいまだ聴いたことがない。