2000年9月18日発売
4種類存在するフルトヴェングラーのブルックナー8番は、どれもユニークな内容を持つ演奏として知られていますが、中でも最も強烈なのが、この1949年3月15日にベルリン・フィルとおこなったコンサートのライヴ録音です。 前日の3月14日に、ダーレムのゲマインデハウスで放送用に収録された録音もTESTAMENTから発売されていますが、聴衆の有無や、ホールの響き、録音状態の違いなどもあって、印象は大きく異なります。 この3月15日の演奏は、フルトヴェングラー流の動的ブルックナー解釈の極点を示すものとして有名なもので、第1楽章展開部後半での強烈なアッチェランドを伴うクライマックス形成や、第4楽章コーダでの激しい追い込みは、ほかの演奏からは考えられないカタルシスをもたらしてくれます。もちろんそうしたドラマティックなダイナミズムだけが凄いのではなく、たとえば第3楽章アダージョでは、楽員の共感に満ちた濃厚な演奏が、深い情感表現に結実していて、恍惚とするばかりの美しさをもたらしてくれるのが感動的ですし、そうした音楽が、紆余曲折を経ながらも次第にクライマックスに向かって盛り上がってゆくときのコントロールの巧みさ・迫真の音楽づくりは、フルトヴェングラーにしかできない非常に雄弁なものと言えるのではないでしょうか。 肝心の音質は、前日の放送用録音に較べてたいへん条件が良く、当時のライヴとしては最良のクオリティで、超弩級のモンスター演奏を味わえるのが大きな魅力となっています。M&A、アルカディア、ドイツ協会盤などで出ていましたが、このCDは、いままで一番音が良かったドイツ協会盤に近いクオリティをもっているのが嬉しいところです。(HMV) 【収録情報】 ・ブルックナー:交響曲第8番ハ短調 WAB.108(ハース版) ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指揮) 録音時期:1949年3月15日(モノラル) 録音場所:ベルリン、ティタニア・パラスト(ライヴ) 【フルトヴェングラーのブル8タイム】 1944 10/17:15:04 14:02 25:00 22:30 T.76:36 VPO ムジークフェライン 1949 03/14:15:47 14:14 25:20 22:56 T.78:17 BPO ゲマインデハウス 1949 03/15:15:33 13:41 24:57 21:55 T.76:06 BPO ティタニア・パラスト 1954 04/10:16:18 14:26 26:55 21:52 T.79:31 VPO ムジークフェライン Powered by HMV