著者 : こかじさら
「社長があなたを嫌っているから」と、25年勤続にもかかわらずいきなりリストラされたかすみ。プライドはずたずた、崖っぷちに立たされたかすみが這い上がるきっかけは、東京マラソンの沿道で縁もゆかりもないランナーたちを応援する友人の姿だったーー。独身アラフィフ、無口な夫との生活に飽き飽きしている専業主婦、社内で「客寄せパンダ」的にしか振る舞えない中堅女性社員。それぞれが「人を応援すること」を通し人生を見つめ直していく連作短篇集。読めば元気が出る、疲れた心に贈る栄養剤小説!(本書は2016年2月に講談社より刊行された『アレー!行け、ニッポンの女たち』を加筆修正し改題したものです。)
榎本佐和子は、平凡な専業主婦だったがパート感覚でフードコーディネーターの友人を手伝ううちに、料理研究家としてレシピ本を出版する。本は大ヒットし、佐和子は周りに祭り上げられるまま憧れの女性の地位をものにした。変わっていく金銭感覚、ふるまい、人柄に昔から佐和子を知っている人たちは、戸惑い始める。彼女を見ていると心がざわつくのだ。その理由は、単なる妬みなのか何なのか。きっと誰しも抱いたことのある微妙な感情を描き出す連作短編集。
「女性が輝く社会」なんて、きれいごとのお題目。 男女雇用機会均等法が制定されてから30年も経つのに、ちっとも生きやすくならない世の中で、すり減り疲れ切った女たちが、ある出会いを縁に、ランニングの楽しさ、他人(ひと)を応援することの素晴らしさを知り、人生に立ち向かうエネルギーをつかんでいく。2016年、最も元気が出る小説。読めば、あなたもきっと走りたくなる。そして、大声で応援したくなる。 理不尽な理由で職を失ったアラフィフの独身女。この典型的な『負け犬』が、ほとんど運動経験もないのにフルマラソンに挑戦することに!? それは、一通のメールがきっかけだった。 友人に誘われて沿道に立った東京マラソンの応援。友人の綿密なタイムスケジュールに引きずられ、轟音のような声援に圧倒されるうちに、すっかり応援とマラソンのとりこになっていた。その夜、魅入られるように、フランスワインの本場・ボルドーで開催される「メドック・フルマラソン」にエントリーしてしまう。 同じころ、元同僚の何人かも偶然、ランニングに触れる機会をえて、その楽しさに魅せられていく。 きっかけを作ってくれた友人があんなに懸命に応援する理由を知り、女たちは、がんばっている人に寄り添い、応援すること、応援されることの素晴らしさを知り、新たな人生を切り拓いていく。 2016年、最も元気が出る小説。読めば、あなたもきっと走りたくなる。そして、大声で応援したくなる。 第一章 「がんばれ!」は人のためならず 第二章 寿退社の傷 第三章 人寄せパンダのプライド 第四章 崖っぷち女の42.195キロ 第五章 負け犬からのエール