著者 : こざわたまこ
自分だけの孤独を大切にしてください。 中学校のクラスに馴染めず、現実から妄想の世界に逃げがちな依子。彼女が頼れるのは 父と、幼い頃から一緒に育ってきた愛犬のトト、そしてたった一人の友人・さきだけだった。しかしクラス替えからしばらくして、さきは依子を避けるようになる。 どうして? なんで? 今までのようにさきと仲良くしたい依子だったが、新しい友達と一緒にいるさきは、話し掛けてもすぐに離れていってしまう。 いっぽう、クラスメイトの伊藤さんは、クラスでいちばん目立つグループに所属しながらも、誰にでも分け隔てなく接してくれる女の子。優等生タイプの子にも、オタクっぽい子にも、そして依子にも話し掛けてくれる。 そんな彼女を好ましく思う依子だったが、伊藤さんと同じグループのリーダー・濱中さんに苦手意識を抱いているため、自分から話し掛けることはできなかった。 その後、事態は伊藤さんのけがを契機に思わぬ展開を見せる。 【編集担当からのおすすめ情報】 本作の主要人物である依子は、人とコミュニケーションを取ることが不得意で、クラスでも浮いた存在です。話せる友人がいないこと、孤独でいること……。一見すると彼女には、「居場所」がないように思えるかもしれません。 しかしこの世は、不安なとき、孤独を感じたときに手を差し伸べてくれる人がいることだけが、必ずしも幸せとは限りません。孤独であったからこそ、掴めることもきっとあるはずです。 全6篇からなる連作短篇小説、ぜひご一読いただけたらと思います。そして「自分の、自分だけの孤独を大切にしてください」。
結婚を考えていた元恋人へ、田舎から一緒に上京した親友へ、亡くなった母へ…。大切な人に伝えられなかった本当の気持ち。「女による女のためのR-18文学賞」デビューの期待の新鋭が贈る、瑞々しい才能がきらめく大注目の最新作!
"仕事ができない私は欠陥人間なの? 人生の一番が仕事でないのはいけないこと? 注目新人作家が贈る現代人のための新しいお仕事小説! 断れない性格が災いとなって中間管理職になった優紀。総務課の人間関係のもつれを解すべく奔走していたがーー。 (「走れ、中間管理職」) いつのまにか仕事ができない“老害”となってしまい家庭にも居場所がない中年課長・内野。 昇進もあきらめ、ただ毎日を過ごしていたが最近はあるやりがいを見つけていて……。 (「スポットライト」) 客観的に見れば甘やかされて育った新卒女子・かおりは小さいころから輪になじめず、コネで入った会社も休職することに。 図書館で出会った小学生の女の子との出会いによって日常が少しずつ変化していく。 (「輪になって踊ろう」) ほか全六篇を収録。疲れた心に寄り添ってくれるお守り的連作短編集。"
国道沿いのラブホテルのネオンだけが夜を照らす村を、自転車で爆走する高校生の田上。ある晩ラブホ帰りの同級生、野口と遭遇した。足が不自由な彼女は“復讐”のため、村中の男と寝るという。田上は協力を申し出るが……。出会い系、不倫、家庭崩壊、諦めながら見る将来の夢。地方に生まれた全ての人が、そこを出る理由も、出ない理由も持っている。光を探して必死にもがく、青春疾走群像劇。
逃げたい、逃げなきゃ。でも、どこへ? 野口は、この村いちばんのヤリマンだ。けれど僕は、野口とセックスしたことがないーー 大型スーパーと国道沿いのラブホが夜を照らす小さな町で、息苦しさを抱えて暮らす高校生と大人たち。もはや人生詰んでるけど、この外でならば、なんとかなる、かも、しれない。あきらめと若さが交差する、疾走感に満ちたデビュー作。