著者 : やまのまや
春の訪れとともに、アニーが営む小さなホテルにも客足が戻ってきた。飛行機事故で両親を失って以来、一人でがんばってきたが、事故直後2カ月間の記憶をアニーはどうしても取り戻せずにいた。シアトルのホテルに研修に行っていたはずなのだけれど…。あれから2年、今日は巨大ホテル・チェーンの経営者を迎える予定だ。休暇だというが、でも、こんな片田舎のホテルにどうして?フリン・パーカーは、歓迎の花を差し出すアニーを見て驚愕の表情を浮かべてた。「いったいこの2年間、どこへ行ってた?君は僕の妻なのに」私は結婚していたの?教えて、私はあなたにどんなふうに愛されていたの?
「名門の僕は君とは結婚できない。だから愛人になってほしい」ある出来事がもとで、心に傷を抱えていたソフィだったが、ギリシアのクレタ島で働くことになった。周囲にもなじみ、自分の居場所を見つけたが、唯一彼女の心を悩ませるのが、プレイボーイな社長アレックスの、傍若無人なこの誘惑。類まれな美貌の彼は、平然と女性を弄ぶという悪い噂があったし、そもそもいまのソフィでは、到底そんな気持ちになれないーそう断ると突然、唇を絡ませてきた。ソフィは知る由もないが、社長の目には、まぎれもない本気の火がちらついていた。
キャメロンが戻ってきた。でも、今になってなぜ?1年前の夏、リオーナの住むスコットランドの村に、アメリカから大富豪キャメロンがやってきた。ふたりは恋におち、紫色のヒースが咲き乱れる丘の上で、夢のような時を過ごした。だが、ある日突然、彼はアメリカへ帰ってしまった。まもなく彼女は妊娠に気づき、絶望の中でローリーを産んだ。貧しくても、息子を心の支えに生きてゆく決意をしていたのに。再び現れたキャメロンは、彼と結婚して半年ボストンで暮らせば、将来、莫大な遺産をローリーに譲ると言うのだった。ああ、彼に愛されないことを承知で妻になるほかないの?