著者 : わたなべぢゅんいち
内裏を舞台に行われた大江山の「鬼」達との壮絶な戦い以来、京には束の間の平和が訪れていた。そんなある日、宴の席で、碓井貞光から一条戻り橋に出没するという橋姫の噂を聞き、一人戻り橋に出かけた渡辺綱は、そこで妖しい魅力を湛えた謎の女、茨木と宿命的な出会いをするのだったが…。そして、息子への帝の寵愛を妬む源頼光の父・鎮守府将軍満仲、内覧の藤原道長の地位を狙う伊周、権力を巡る男達のどす黒い野望は、大江山の首魁・呪天童子の、新たな魔手を呼び寄せることとなるのだった-。戦うことに悩みながらも「鬼」との壮絶な戦いに巻き込まれていく頼光と綱達。好評ファンタジー伝奇ロマン第三巻。
帝の勅命により「鬼」退治を命ぜられ京に上った上総の国守源頼光は、渡辺綱、卜部季武、坂田金時、碓井貞光らの活躍により羅城門において首尾よく「鬼」を倒すのだが、意外にも彼らが倒した「鬼」の姿は人間と寸分違わぬものだった。これが人を食らうという「鬼」なのか?人もまた「鬼」になれるのか?人を遥かに越えたあの力は何なのか?彼ら五人の心の中には、しだいにその正体に対する疑問が脹らみつつあった。そんなおり、頼光とその一党は帝の住吉神社参詣の供を命じられるのだったが-。「鬼」の正体とは何なのか、その真の目的とは?平安京を舞台に新鋭が描くファンタジー伝奇ロマン第二巻。
平安京に都が移り二百年ほどの時が流れた頃。かつては様々な種族が互いに覇権を争ったこの国も、朝廷によってひとつに統一され、藤原氏の摂関政治の下華やかな王朝絵巻がくり広げられていた。しかし、昼の華やかさとは裏腹に、漆黒の闇に沈んだ夜の京を支配していたのは、どこからともなく現われる野盗、妖かし、魑魅魍魎共であった。人々は、いつしか「平安の京には鬼が出る」と囁き、夜の闇を怖れていた。上総の国守源頼光、渡辺綱主従に、帝よりの勅命が下ったのはちょうどそんな頃であった-。朝廷側の尖兵として「鬼」との壮絶な戦いに巻き込まれていく男達の運命を、新鋭が鮮烈に描くファンタジー伝奇ロマン登場。