著者 : アレクサンドラ・マリーニナ
死刑執行人死刑執行人
一九九六年二月、元KGBのブラートニコフ将軍配下の工作員サウリャクが刑期を終え、出所してきた。ブラートニコフの後継者であるミナーエフ連邦保安局(旧KGB)将軍はサウリャクの私的警護を内務省の友人に依頼、その警護の役目をおおせつかったのが、モスクワ市警の心理分析官アナスタシヤ・カメンスカヤ。ブラートニコフ将軍には裏の顔があり、サウリャクはその秘密の鍵を握る重要人物。ブラートニコフが暗殺された後、身の安全を図るために、刑務所に入っていたのだ。サウリャク出所のニュースは、いち早く対立陣営にも伝わり、彼の身柄を奪還しようとするが、アナスタシヤの巧みな機略により無事モスクワへ。首都では折しも大統領選の最中。候補者のマリコフはブラートニコフの暗殺に関与しており、サウリャクの動向は政治の中枢をも揺るがすことになる。権力者たちの野望が渦巻く中、アナスタシヤは事件の背後に潜む驚くべき事実に迫ってゆく。ロシア・ミステリー界の女王が描く、好評シリーズ第3弾。
孤独な殺人者孤独な殺人者
久しく会っていなかった弟のアレクサンドルから、突然、アナスタシヤのもとへ電話がかかってきた。どういうわけか、ガールフレンドのダーシャと訪れた友人宅が、次々と盗難に遭っている。もしかして、彼女が泥棒を手引きしているのではないか、極秘に調べてほしいという。さっそくダーシャの身辺を洗いはじめるが、その彼女には担ぎ屋グループの尾行がついており、さらにその担ぎ屋を追う男の影があった。九年前、男の息子は、四人の少年たちに嬲り殺されたのだが、犯人はいずれも十四歳以下で刑事責任を問えない。法律が罰しないのなら、みずからの手で罰するほかはないと、長い年月をかけて復讐の機会をねらっていたのだ。…いくつもの殺人が錯綜しながら、事件は混迷の度を深めていく。
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