著者 : アンドレ・ピエール・ド・マンディアルグ
城の中のイギリス人(愛蔵版)城の中のイギリス人(愛蔵版)
「エロスは黒い神なのです」 「この書物は闘牛の一種と思っていただきたい」。満潮によって閉ざされた城ガムユーシュに招かれた語り手が、イギリス人の謎めいた主人モンキュらとともに繰り広げる美しくもおぞましい性の饗宴。 「この破廉恥な姿態はどこから見ても申し分なく破廉恥で、私たちの目には裸体以上に(あるいは裸体以下に)みだらなものだった。五匹の蛸が彼女の身体にへばりついたまま、[……]少女の肉体と軟体動物頭足類とがからみ合っている有様は、一種厳然たる人獣交媾の段階に達していた。おそらく曖昧に崇高とでも呼ぶ以外には呼びようのないものが、そこには見てとれたのだ」。(本文より) 1979年刊の新版に基づく、シュルレアリスム小説の奇書にして名訳。
ボマルツォの怪物ボマルツォの怪物
『余白の街』でゴンクール賞を受賞し、現代フランス文学のエロス的幻想ジャンルを代表する作家の、珠玉の短編集。ローマの北方に密かに佇む十六世紀の遺物「謎の怪物庭園」をめぐって、聖なる人工廃墟の芸術性を浮き彫りにする表題作のほか、『黒いエロス』『ジュリエット』『イギリス人』など、眩惑と官能と怪奇が交錯する独自の世界を渋沢龍彦が編訳。
PREV1NEXT