著者 : アン・レスブリッジ
結婚仲介人として生計を立てるアメリアは、新しい顧客である美しい令嬢を連れて、舞踏会に出席した。そこで彼女は独身主義者と悪名高いストーン公爵と再会する。社交界デビューの年、アメリアは彼にひと目で惹かれたが、ひどく冷たくあしらわれ、初恋は無様に砕け散ったのだった。あの公爵も、ついに花嫁を探すことにしたということ?アメリアが顧客の令嬢を紹介すると、意外にも彼はとても優しく、その紳士的な態度はお目付役のアメリアに対しても同様だった。公爵は令嬢を気に入っているようだわ…。喜ぶべきことなのに、なぜか彼と目が合うたび、その熱いまなざしに心がざわめきー。
いったいどうして老伯爵は、天涯孤独の貧しい私に全財産を譲ったの?しかも相続の条件は、年内に結婚することだなんて…。「うまくやったものだな、ミス・ワイルディング」新伯爵ベインに蔑むように見据えられ、メアリは体じゅうが熱くなった。つまり、読み上げられた遺言書の内容は聞き間違いではないのだ。あまりの出来事に呆然とするメアリにベインは愛なき結婚を迫り、この世のものとは思えないほど甘美で情熱的なキスをした。「さっさと私を殺せば、あなたの問題はすべて解決するのに」胸の高鳴りを懸命に押し隠すメアリに、ベインは冷たく告げた。「その方法についても、考えなかったわけじゃない」愛に背を向けた伯爵と、愛を夢見る貧しい娘。出会うはずもなかった正反対の二人がなす術もなく惹かれあうとき、過酷な運命が幕を開けて…。ミステリアスで情熱的な珠玉のシンデレラ・ストーリー。
「ぼくと踊っていただけませんか?」憧れの公爵が不意に現れ、ローズの心臓は跳びはねた。彼が所有する紳士クラブのメイドとして働くローズは、繕い終えたばかりの美しいドレスにほんの出来心から袖を通し、夜中にひとりハミングをしながらワルツを踊っていたのだった。貴族の足元で床磨きをしている娘だとは、まだ気づかれていないらしい。夜ごと夢に見ていた公爵の腕に抱かれて天国のようなキスをされ、秘密の逢瀬に誘われたローズは、ひどくうろたえて逃げだした。貧しい捨て子のわたしには、彼に恋する資格なんてない…。しかし後日、彼はローズを見つけるやいなや公爵の館に連れ去った。