著者 : イサベル・アジェンデ
言葉とお話を売る娘“暁のベリーサ”から大統領選用の演説を買った大佐、サーカス一座の団長がひと目惚れした宝石商夫人に捧げた最高の贈り物、イラ族の娘の魂とともに旅をした先住民の狩人、独裁者最後の恋と密林に埋もれた幻の宮殿、土石流に襲われた村で顔だけを残して泥に埋まった女の子…お話の名人エバが言葉の糸を紡いで織りあげた様々な人生の物語。長編『エバ・ルーナ』から生まれた珠玉の物語集。
流浪のヒロインが物語る波瀾万丈の人生 わたしの名はエバ。生命を意味しているー南アメリカの或る独裁制国家、密林の捨て子だった母親と先住民の庭師との間に生まれた娘エバは、人間の剝製法を研究する博士の屋敷を振り出しに様々な家を転々としながら大きくなる。天から与えられた彼女の才能はお話を語ること。世話好きな黒人の料理女、街の不良少年、娼婦の元締めの女将、夜ごと羽飾りに身を包み絶世の美女と化す語学教師、辺境の町で商店を営むアラブ人、ゲリラの指導者、高級将校、オーストリア移民の若き報道カメラマンなど、流浪のなかでエバは多くの人々と出会い、やがて愛を知り、物語の語り手としての人生を切り開いていく。20世紀の歴史を背景に展開する波瀾万丈、奇想天外な挿話と、エバの語る物語の数々。『精霊たちの家』で世界中を虜にした〈現代のシェヘラザード〉アジェンデが、驚異のストーリーテリングで読者を魅了する傑作長篇。
毎週届くクチナシの花、黄色い封筒に入った手紙、お忍びの小旅行…80代を迎えた老人の謎めいた日常の背後に、いったい何があるのか?老人ホームに暮らすアルマ。日系人イチメイとの悲恋を主軸に過去と現代のドラマが展開する、現代版『嵐が丘』。
クラーラは、不思議な予知能力をもっていた。ある日、緑の髪をたなびかせ人魚のように美しい姉のローサが毒殺され、その屍が密かに解剖されるのを目の当たりにし、以来九年間口を閉ざしてしまうー発表されるやまたたくまに世界的評価を得た、幻想と現実を自在に行き交う桁外れの物語。ガルシア=マルケス『百年の孤独』と並ぶ、ラテンアメリカ文学の傑作。
精霊たちが見守る館で始まった一族の物語は、やがて身分違いの恋に引き裂かれるクラーラの娘ブランカ、そして恐怖政治下に生きる孫娘アルバへと引き継がれてゆくー三世代にわたる女たちの運命は、血塗られた歴史で頂点をむかえる。一九七三年チリ、軍事クーデターで暗殺されたアジェンデ大統領の姪が、軍事政権による迫害のもと描き上げたデビュー作。
不思議な予知能力をもつ美少女クラーラは、緑の髪をなびかせ人魚のように美しい姉ローサが毒殺され、その屍が密かに解剖されるのを目の当たりにしてから誰とも口をきかなくなる。9年の沈黙の後、クラーラは姉の婚約者と結婚。精霊たちが見守る館で始まった一族の物語は、やがて、身分ちがいの恋に引き裂かれるクラーラの娘ブランカ、恐怖政治下に生きる孫娘アルバへと引き継がれていく。アルバが血にまみれた不幸な時代を生きのびられたのは、祖母クラーラが残したノートのおかげだったー幻想と現実の間を自在に行き来しながら圧倒的な語りの力で紡がれ、ガルシア=マルケス『百年の孤独』と並び称されるラテンアメリカ文学の傑作。軍事クーデターによって暗殺されたアジェンデ大統領の姪が、軍政下で迫害にあいながらも、祖国への愛と共感をこめて描き上げた衝撃のデビュー作。