著者 : ウォルタ-・モズリ
1963年11月。イージー、43歳。美貌の女教師アイダベルから雑種の小犬を預ってくれと頼まれたイージー。愛犬が夫に殺されそうだとの懇願に引き取ってみたものの、いっこうになつかない。しかも勤め先の学校の農園で男の死体が見つかった。そのしゃれのめした格好の男の死体はアイダベルの義兄ローマンだという。そして、小犬を引き取りに来ないアイダベルを自宅に訪ねたイージーを待ち受けていたのは、アイダベルの夫ホランドの死体のみだった。誰が二人の男を殺害したのか?さらにアイダベルはいったいどこへ?J・F・ケネディ暗殺時の60年代のアメリカ黒人社会をリアルに描く、ハードボイルド小説の白眉。
1961年のロサンゼルス。ホワイトハウスには若きジョン・F.ケネディ大統領がいて、南部ではマーティン・ルーサー・キング牧師を指導者にして黒人解放運動が燃えさかっていた。ブラック・アメリカの新しい夜明けが叫ばれるなかで、黒人の私立探偵イージー・ローリンズは不動産投資に失敗し、破産状態に近かった。親友マウスも五年の刑期を終えて出所していた。四十一歳になったイージーにとって、この五年は悲惨な日々だった。親友が酒場の路地裏で人を撃ち殺すところを目撃した彼は、悪夢に悩まされた。しかも、可愛い子供がふたり残ったものの、妻のレジーナは自分のもとを去っていた。そんな彼のもとに、人捜しの依頼がもちこまれた。捜す相手はなんと“ブラック・ベティ”ことエリザベス・イーディ。イージーがテキサス州ヒューストンの少年時代に憧れ、はじめて異性にめざめさせられた年上の女であった。ベヴァリーヒルズの大富豪の家で働いていた彼女の行方を捜すことは簡単に思われたが、事は連続殺人へと発展していき…。セピア色のロサンゼルスを舞台に黒人の私立探偵イージー・ローリンズの活躍を描く人気ハードボイルド・シリーズ、『ブルー・ドレスの女』『赤い罠』『ホワイト・バタフライ』に続く第四弾。
1948年、ロサンゼルス。飛行機工場を馘になった黒人労働者イージー・ローリンズは、家のローンを返すため、どんな仕事でも引き受ける気でいた。とはいえ、自分が探偵の真似事をして人さがしをすることになろうとは、思ってもいなかった。さがす相手は、黒人のもぐり酒場に出入りする美貌の白人女ダフネ・モネ。なにやら厄介ごとの匂いがぷんぷんした。だが、仕事の選り好みをしている余裕はない。イージーは手はじめにジャズ関係者が集う非合法のナイトクラブ〈ジョンの店〉を訪れ、そこでダフネを知っている黒人女を見つけだした。ところが、ダフネの居場所を聞き出すまえにその女が無残な撲殺体となって発見されたことから、事件は思わぬ方向へ。アメリカ私立探偵作家クラブ賞、英国推理作家協会賞の処女長篇賞をダブル受賞し、クリントン大統領からも絶賛された衝撃のデビュー作、ついに登場。