著者 : エリカ・スピンドラー
真っ青な空を背に15歳のジェーンは笑顔で泳ぎを楽しんでいた。絵葉書のように美しい海と眩い太陽。その時どこからともなくモーターボートが近づいてきた。ボートは明らかにジェーンを標的にして突進し、スクリューが彼女を切り裂き…そこで悲鳴とともにジェーンは目を覚ました。何度となくうなされるこの悪夢は、16年前に実際に彼女が経験した悲劇だ。その苦しみを乗り越えた今、ジェーンはハンサムな医師と結婚し、お腹には待望の赤ちゃんがいる。人生はまさに順調だったー“ボートの男”が再び現れてすべてを脅かすまでは。
15歳のときに、淡い想いを抱いていた人に傷つけられて、アナベルは心を閉ざした。それ以来、誰にも愛されず、誰も愛せず、たった一人で生きてきた彼女のもとに、暗い目をした精悍な男性ラッシュが現れる。孤児院で育ち、里親の家で虐待され、不遇の人生を歩んできたという彼は、自分の素性を知りたくて、記憶の片隅に残っていたオルゴールを手に訪ねてきたのだ。確かにそのオルゴールは昔、アナベルの屋敷にあったものだ。その意味することを考えもせず、アナベルは彼に惹かれる。この恋心が大きな悲劇に繋がるとは夢にも思わずに。
小さな町の警察官メラニー。といっても普段はご近所トラブルや駐車違反に対処する程度で、町で初めて殺人事件が起きたときも現場で嘔吐し、居合わせたFBI捜査官コナーに馬鹿にされる始末だ。そんなある日、メラニーは最近起きたいくつかの“死亡事故”の共通点に気がつく。被害者は皆、妻や恋人を虐待する暴力男だったのだ。これは過失や事故じゃないー神さま気取りの殺人犯は“闇の天使”と名づけられ、メラニーはコナーとタッグを組んで捜査に乗り出す。やがて思いもよらぬ衝撃の事実が明らかに…。怒涛のロマサス傑作!その死は怒れる“天使”の涙か、それともー天性の作家エリカ・スピンドラーの名作、ここに復刻!
勤め先の老社長ミスター・ローズが亡くなり、ベロニク・ドラクロワは弔問のためローズ邸を訪れた。広大な屋敷のビリヤード室に迷い込んだ彼女は、そこでブランドン・ローズと出会う。故人の息子で、彼女にとっては新社長となる、ハンサムな社交界の寵児だ。ベロニクは彼を慰めようと、ビリヤードの相手をしながら、自分も父がいないことを打ち明けた。父の名前を聞いて、ブランドンがキューを持つ手を止めたことには気づかなかった。以来、ブランドンはなにかと彼女に誘いをかけてくるようになる。ベロニクの心は躍った。王子様に見初められた、シンデレラの気分で。