著者 : エリザベス・ホイト
貴婦人のコンパニオンを勤めるフレイアは没落した公爵家の娘で、女性だけの秘密結社「ワイズ・ウーマン」のメンバー。彼女はある調査にたずさわっていたところ、ハーロー公爵クリストファーに再会する。彼はフレイアの一族を窮地に立たせた「グレイコートの悲劇」に関わった者だった。「悲劇」の真相をさぐるために彼に近付くフレイア。敵である二人だったはずが、いつしか惹かれ合い……
まちがえられて秘密結社に拉致されたアイリス。人違いだと訴えても解放されず、あわや命をうばわれそうになったところを救出してくれたのは、舞踏会で一度会ったことのあるダイモア公爵だった。 彼はアイリスを救いたい、そして〈混沌の王〉の追っ手を振り切るためには、自分と結婚するしかないと言う。 こうして彼女は、ダイモアにかくまわれて暮らすことになるのだが……。
カイル公爵ヒュー・フィッツロイは、とある晩餐会に出席した真夜中の帰り道、暴漢に襲われた。応戦したものの、多勢に無勢で窮地に陥る。そこに現れたのが「セントジャイルズの亡霊」と呼ばれる謎の人物。屋根から屋根へと飛び移り二本の剣を操る身軽な「亡霊」はヒューを助け、キスをしたかと思うと、あっという間に姿を消した。「亡霊」は女性だった。 自分を襲わせたのは誰なのか? 晩餐会で目撃した密書のやりとりが関係しているのか、あるいは謎の秘密組織〈混沌の王〉が黒幕なのか、ヒューには判断がつかない。調査を進めるため、セントジャイルズの情報屋の少年、アルフを呼び寄せる。 ところがこのアルフこそ、セントジャイルズの亡霊だった。女性であることを隠し、男装することで身を守って貧民窟で生き抜いてきた彼女は、正体がばれたのかとあやぶみながら公爵に会いに行く。そして仕事の依頼だとわかって、少し落胆しつつ聞き込みを開始したところ、彼女もまた暴漢たちに襲われて重傷を負ってしまい……。
大人気《メイデン通り》シリーズ第10巻。 若くして、女性使用人の管理職であるハウスキーパーの地位に着いたブリジット。仕えているモンゴメリー公爵バレンタイン・ネイピアはギリシャ彫刻のように美しいが、放蕩者で邪悪な人物だと噂されている。 ブリジットがバレンタインに仕えることになったのは、彼が屋敷に隠している秘密の品々を見つけて運び出すという使命を負わされ、送り込まれたためだった。 その品をもとに、貴族たちが脅迫されていると聞いている。そして秘密を握られた人々のひとりには、彼女の産みの母もいた。 あるとき、屋敷のなかを探しまわっているところを、公爵に見つかってしまったブリジット。 使用人とは思えない気品と知性のある彼女に興味を抱いた公爵は、処分を言い渡すことはなかったが、なにかと挑発してくる。 誘惑にとまどいながらも、彼のさりげない優しさやユーモアに触れ、ブリジットはだんだんと会話する時間を楽しみとするようになった。 はじめは冷たい人物に見えたモンゴメリー公爵だが、腹違いの妹をいつも気にかけ、慈しんでいるのをブリジットは知る。脅迫にみえた行動も、妹のためにある狙いをもって行っていたことだった。 兄妹はともに幼少の頃に過酷な体験をし、助け合ってそこから生き延びたという絆があった。 また、公爵もブリジットの出生の秘密を知り、彼女が大人たちの都合で人生を左右されてしまったことに憤る。 心の傷を癒やし合うように、二人は引かれあってゆくのだが……
大人気シリーズ、《メイデン通り》第9弾! 公爵の娘イブは、なによりも平穏な毎日を望んでいた。外出はせず、細密肖像画を描き、小さな屋敷で静かに暮らしていたいと。それは心の傷を思い出さないようにするためだった。しかし、イングランドを離れた兄の代理で、ハート庭園の持ち主エイサ・メークピースのもとを訪ねたときから、彼女の生活は一変する。 イブの腹違いの兄であるモンゴメリー公爵から資金の提供をうけ、古びた庭園と園内の劇場の再建をめざしているエイサ。その出資の打ち切りを彼に告げるのがイブの役目だった。そんな出会いのきっかけゆえ、はじめは反発しあっていた二人。しかし、エイサは貴族的で取り澄ましていると思っていたイブの寂しげな陰がどうしても気になってしまい、ほうっておけない。また、イブも彼の劇場に賭ける情熱とたくましさに魅せられる。少しずつ心を通わせていくなか、イブはエイサに絵のモデルになってほしいと依頼して……癒やしと再生の愛の物語。
公爵の妹フィービーには、トレビロン大尉が護衛として常に付き添っている。 トレビロンは、目が不自由なフィービーが明るく前向きに生きている姿に心惹かれていた。 ある日、外出先でフィービーが何者かにさらわれてしまう。間一髪で彼女を救い出せたものの、責任を感じて辞職を申し出るトレビロン。 フィービーはその時、身も心も守られていたことに気づく。 ところが、トレビロンが彼女の前から立ち去った数日後、再びフィービーは誘拐されてしまった。それを知ったトレビロンは……!
人気舞台女優として活躍するリリーは、雇い主に頼み込み、火事で焼け落ちた劇場跡に住まわせてもらっていた。ある日、リリーは庭園で庭師のアポロと出逢う。声を失っている彼は、ある事情から名前も身分も隠しながら、かつて自分が手がけた大切な庭園の再建に努めていた。リリーはアポロと筆談で交流を重ねるうちに、彼の庭園に対する真摯な想いや、純粋な瞳とやさしさに惹かれていく。ところが、やがてアポロが声を取り戻したころ、追手から逃れるため彼は突如姿を消してしまった。その一件で、実はアポロが貴族であることを知り、驚くリリー。2週間後、パーティーで偶然に再会したふたりは…。大好評“メイデン通り”シリーズ第7弾!RTブックレビュー“ヒストリカルK.I.S.S.(白馬の王子様)ヒーロー賞”受賞作。
アーティミスは貴族の娘でありながら両親も財産もなくし、親戚で大富豪の伯爵のもとに身を寄せて、従妹のコンパニオンを務めている。ある日、従妹とアーティミスは、ロンドンの貧民街セントジャイルズでならず者に襲われそうになったところを、“セントジャイルズの亡霊”と呼ばれる謎の男に助けられた。去り際に彼が落としていった印賞付きの指輪を、アーティミスはひそかに保管する。男の正体は、ウェークフィールド公爵マキシマス。彼は爵位を守るために、伯爵令嬢との結婚を考えていたが、自分が落とした指輪を令嬢のコンパニオンであるアーティミスが持っていることを知る。そして、アーティミスと言葉を交わすうちに、マキシマスは聡明で凛とした彼女に心惹かれていく。その後、マキシマスが私邸で開いたパーティーで、二人の関係は急接近し…。
侯爵令嬢メグスはロンドンの貧民街セントジャイルズで婚約者を殺され、スキャンダルを避けるためゴドリックと便宜結婚をする。形だけの夫婦となった二人は、顔を合わせることもせず、メグスは夫の田舎の領地でひっそり暮らしていた。あれから二年ーメグスは婚約者の命を奪った“セントジャイルズの亡霊”の正体を暴き、仇を討つために、ロンドンに住むゴドリックの屋敷を訪れた。ゴドリックは、病気がちだった前妻を亡くしてから固く心を閉ざし続けていた。しかし、明るくはつらつとした妻メグスと接するうちに、哀しい過去を乗り越えようとしている自分に気づく。もう二度と誰かを愛することなどないと思っていたのに、彼はメグスを心からいとおしく感じはじめていた。ゴドリックは彼女をまもるために全身全霊を捧げることを誓う。なぜなら彼は…。「メイデン通り」シリーズ第5弾!
街に夜ごと現れる、謎に包まれた“セントジャイルズの亡霊”。ある晩、馬車を走らせていた貴婦人イザベルは、けがを負った“亡霊”を見つけて屋敷に連れ帰る。夜明けを待たずに姿を消した正体不明の男性に、イザベルはどこか不思議な魅力を感じた。その数日後、彼女を含む貴婦人たちが支援する孤児院の経営者で、庶民男性の心優しいウィンターを社交界入りさせるため、イザベルが指南役となる。会話やダンスの手ほどきを重ねるうちに、互いの孤独な心に気づき惹かれていく二人。しかしウィンターは、身分が高く美しいイザベルを前に自分の気持ちを押し殺していた。しかも彼には、誰にも言えない秘密があったー。レッスンの成果を試すため、二人でオペラハウスに出かけた夜、“亡霊”が現れたという噂を聞きつけたイザベルが思わずその姿を追いかけると…。
令嬢ベアトリスは、屋敷に飾られた英雄レノーの肖像画に恋をしていた。ところがある日、戦死したはずの彼が突然帰還!肖像画からは想像もつかない、変わり果てたその姿にベアトリスは…。珠玉の“四人の兵士の伝説”シリーズ、完結編!
悪名高き盗賊王ミッキー・オコーナーの豪奢な屋敷を訪ねた、若く美しい未亡人サイレンス。彼女が慈しむ養女メアリーが、孤児院からミッキーによって誘拐されたのだ。養女を取り戻すため、勇気をふりしぼって盗賊王に直談判したところ、メアリーは彼の実の娘であること、そしてその娘の命が何者かに狙われていると打ち明けられた。メアリーが心配なあまり、サイレンスは彼の屋敷が付き添うことに。ミッキーの傲慢で不遜な態度に反発する毎日だったが、ある日、美しい声で娘に子守歌を聴かせる彼の姿があった。盗賊王の優しく繊細な心を知り、一人の男性として次第に惹かれていくサイレンス。彼もまた、悲しい自分の過去に耳を傾け、涙を流してくれる慈愛に満ちたサイレンスに激しい熱情を募らせていた。ある晩二人は華やかなオペラハウスへと出かける。二人きりの席で甘いひとときを過ごすも、屋敷へ帰ることそこには…。