著者 : エリック・マコーマック
雲雲
旅先で見つけた一冊の書物。そこには19世紀にスコットランドの村で起きた悲惨な出来事が書かれていた。かつて彼は職を探して、その村を訪れたが、そこで出会った女性との愛とその後の彼女の裏切りは、彼に重くのしかかっていた。書物を読み、自らの魂の奥底に辿り着き、自らの亡霊にめぐり会う。ひとは他者にとって、自分自身にとって、いかに謎に満ちた存在であるかを解き明かす、幻想小説とミステリとゴシック小説の魅力を併せ持つ、著者渾身の一冊。
パラダイス・モーテルパラダイス・モーテル
長い三十年間の失踪の後に帰宅し、死の床に伏していた祖父が語ったのは、ある一家の奇怪で悲惨な事件だった。一家の四人の兄妹は、医者である父親に殺された母親のバラバラにされた体の一部を、父親自身の手でそれぞれの体に埋め込まれたという。四人のその後の驚きに満ちた人生とそれを語る人々のシュールでグロテスクな物語。ポストモダン小説を語る上で、欠くことのできない傑作。マコーマックの騙りの魔術の出発点。解説= 柴田元幸
隠し部屋を査察して隠し部屋を査察して
日曜日の朝、カナダのある町に突然、巨大な溝が出現、高速で西に向かいはじめた。触れるものすべてを消滅させながら……。世界中を混乱に陥れる奇妙な現象「刈り跡」、不可解な死の真相を街角の迷宮に追う警部「窓辺のエックハート」、想像力の罪を犯し幽閉された人々を描く表題作など、謎と奇想に満ちた二十の物語。◆解説=柴田元幸
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