著者 : カトリーナ・カドモア
アイルランドの懐かしい古城で、キアラはトムと再会した。十代のころ、夏の休暇のたびにこの城に仕える祖父母のもとを訪れ、キアラは当主である公爵の子息トムと愛し合うようになった。だが、互いにまだ18歳、主従の子同士の恋が祝福されるはずもなく、妊娠、流産と数々の誤解を経て、二人は引き裂かれたのだった。今、城の庭師として働くキアラは、近ごろ公爵位を継いだトムから、城と庭を売却すると聞かされる。あの日以来この地に寄りつかず、実業家としても大成功している彼には、思い入れなどないのだろう。そして、キアラが思い出に胸を震わせようと、身分違いは昔のままーところが翌日、大雪が城を襲う。二人きりで閉じこめられて…。
幼くして母に捨てられ、父と世界各地を転々としてきたジョージー。今は離れて暮らす父が、ギリシアで美しい島を見つけ、農家を改装してゲストハウスを営むことにしたという。だが喜びも束の間、不幸にも父は突然の病で帰らぬ人となってしまった。天涯孤独のジョージーは亡き父の夢を叶えるため島に渡ったが、すぐに底をついた資金を工面すべく、働きに出ざるをえなくなる。リゾートホテルの重役秘書の仕事にありついたはよかったが、上司となるルーカスは、弟が勝手に決めたことだと解雇を宣告した。ジョージーがなおも懇願すると、彼は意味ありげに言い放った。「きみを雇うわけにはいかない。社内恋愛を禁止する社則を設けたんだ」
「ここにいるのは君と僕の二人だけだ」ルシアンの思わせぶりな言葉に誘われたシャーロットはいつもの冷静な自分を忘れ、熱い一夜を過ごした。その過ちの結果が妊娠だなんて!突然に人生の大転換を迎え、シャーロットは仕事を辞めて一人で子供を育てる決心をした。なにしろ、お腹の子の父親は彼女が勤める企業のCEOなのだ。シングルマザーになることを告げると、ルシアンは意外にも、二人で育てるための便宜結婚を迫ってきたーあくまでも子供のために、愛のない結婚を。密かに彼に恋していたシャーロットの胸は張り裂けんばかりに痛んだ。