著者 : キャサリン・ガーベラ
キンリーはウェディングプランナーとして故郷へ帰ってきた。ここには、3年前に情熱的な週末を過ごした大富豪ネイトがいる。彼は今回のクライアントの兄で、この地の実力者だ。仕事の初日の偶然再会すると、ネイトはまた積極的に誘惑してきた。あの週末のあと、電話をかけた私を、冷たく拒んだというのに…。ネイトがまた、つかのまの情事を楽しむだけのつもりなのだとしたら、あのとき伝えたかったことを、打ち明けるわけにはいかないわー彼には、2歳になる娘が、ペニーという名の娘がいることを!けれど、ペニーに父親を与えたい気持ちと、再びネイトの魅力に屈してしまいそうな自分に、キンリーの心は千々に乱れ…。
大富豪ジェレミーの来訪が告げられ、イザベラは固まった。ついに契約を実行に移すときがきたというわけだ。かつてイザベラは、親もなく、貧しさのなか必死で弟を養っていた。3年前、そんな彼女が出会ったのが、ジェレミーだった。弟が独り立ちしたあとに半年間、イザベラが彼のものになるなら、経済的に援助しようとジェレミーは申し出た。藁にもすがる思いで、イザベラはその条件をのんだのだ。オフィスに入ってきた彼は相変わらずセクシーで、裕福な実業家というオーラを全身にまとっている。不安と同時に、理性に反した胸の高鳴りを覚え、イザベラは身を震わせた。
ジェシーはある日突然、交通事故で無二の親友を失った。喪失感のなか、孤児になった赤ん坊の養育を遺言で託されたことを知る。それには大富豪のアランと一緒に、という条件がついていた。アランとは親友同士が結婚した縁で知り合ったものの、彼の一族がジェシーとその姉妹の会社を買収したことで、もともとよくなかった関係はこじれにこじれている。でも、傲慢で大嫌いな彼のことが、脳裏から離れないのは…なぜ?慣れない赤ん坊の世話を協力しておこなううちに、いつしかジェシーはアランに身も心もゆだねていた。ほどなく、冷徹な彼に裏切られることになるとも思わずにー
キャシディは妊娠9カ月。子供嫌いな大企業の副社長ドノヴァンに、妊娠を打ち明けられず別れたきりだったが、その日、驚くことに彼が突然訪ねてきた。「結婚してくれ、キャシディ。ぼくたちの赤ん坊の父親になりたい」ああ、わたしだって本当はあなたが恋しくてたまらなかったのよ!でも…義務感からのプロポーズなら受けるわけにはいかないわ。「離れていた間に、きみの大切さが身に染みてわかったんだ」誠実なドノヴァンの言葉に、キャシディも心を開き、彼の変化をいぶかりつつも求婚を受け入れるーまさかそれが、彼がCEOに就任するための便宜結婚とはつゆ知らず。
エミリーは体の震えを抑え、紺碧の海を臨むペントハウスの主を訪ねた。新しい命を授かったと、セクシーな一夜の恋人レイフに伝えるために。父親の名前も知らずに育つ寂しさを、お腹の子には味わわせたくない。富豪一族の長男である彼のもう一つの名は、ラファエル・モントロ四世。彼は、美しい地中海の島国アルマの王位継承者なのだ。そんな彼としがないバーテンダーの私に未来があるはずもないけれど…。妊娠を告げたエミリーの耳に、レイフの言葉が虚ろに響くー「王位を捨てることはできない」だが、気づくと彼女はレイフに求められるまま激しく情熱を交わしていた。なんて愚かな私。逃げるように部屋を出たエミリーだったが…?!