著者 : グレッグ・イーガン
彼女は洞穴の中で目ざめた。外に見えるのは空、下から照りつけるのは日光。この奇妙な世界は何なのか?-未知の世界のありようを考察する表題作、死んだ名脚本家の記憶を持つアンドロイドが自らのアイデンティティを追う「不気味の谷」、恒星間をデータとして旅する夫婦を描いた、長篇『白熱光』と同一未来史の中篇「鰐乗り」など6篇を収録。現代SFのトップランナー、イーガンの日本オリジナル短篇集。
2万年後の遠未来。量子グラフ理論の研究者キャスが“ミモサ研究所”で行った実験は、まったく新たな時空を生み出してしまうーそれから数百年後、人類はその生存圏を侵食し拡大し続ける新たな時空の脅威に直面し、生存圏の譲渡派と防御派が対立していた。両派共有の観測拠点“リンドラー”号にて、譲渡派のチカヤは幼なじみのマリアマと再会し動揺する…深刻な対立と論争の果てに人類が見たものは!?
遠い未来、融合世界との意思疎通を拒んでいた孤高世界に、未知のDNA基盤の生命が存在する可能性が浮上。融合世界のラケシュは友人パランザムと共に、それを探すべく銀河系中心部を目指す。一方、“白熱光”からの熱い風が吹きこむ世界“スプリンター”の農場で働くロイは、老人ザックから奇妙な地図を見せられる…二つの物語の果てにあるものとは!?世界の法則を自ら発見する魅力溢れるハードSF。
発進から六世かけ、直交星群の反物質を扱う技術をも発展させた“孤絶”の科学者たち。ようやく故郷の惑星を救う目処がつき、帰還の途につくことに。だが、「時の矢」の反転で航宙に危険が増すくらいなら、母星が破滅してもかまわないと主張する帰還反対派もあらわれていた。対立が激化する“孤絶”で、未来からのメッセージを受けとるシステムの建設計画が発表される。稼働すれば、未来の事象のすべて、“孤絶”と故郷の運命もわかるというが…。わたしたちとは異なる時空の法則から構築された奇妙な宇宙で、奔放にアイデアをかけめぐらせた“直交”三部作、堂々の完結篇!
究極の言語表現を可能にするインプラントTAPを使用していた詩人が、謎の死を遂げた。捜査を依頼された私立探偵が見た真相とは…表題作「TAP」他、奇妙な体外離脱体験を描いた「視覚」、著者の世界観が打ち出された名作「銀炎」など全10編。変わりゆく世界、ほろ苦い新現実。世界最高と名高いSF作家イーガン傑作選。
はるかな未来、150万年のあいだ意思疎通を拒んでいた孤高世界から、融合世界に住むラケシュのもとに、使者がやってきた。衝突事象によると思われる惑星の地殻の破片が発見され、未知のDNA基盤の生命が存在する可能性があるというのだ。その生命体を探しだそうと考えたラケシュは、友人パランザムとともに銀河系中心部をめざす!周囲を岩に囲まれ、“白熱光”からの熱く肥沃な風が吹きこむ世界“スプリンター”の農場で働くロイー彼女は、トンネルで出会った老人ザックから奇妙な地図を見せられ、思いもよらない提案をもちかけられるが…現代SF界最高の作家による究極のハードSF。
2034年、地球の夜空から星々が消えた。正体不明の暗黒の球体が太陽系を包みこんだのだ。世界を恐慌が襲った。この球体について様々な仮説が乱れ飛ぶが、決着のつかないまま、33年が過ぎた…。ある日、元警察官ニックは、病院から消えた若い女性の捜索依頼を受ける。だがそれが、人類を震撼させる量子論的真実につながろうとは!ナノテクと量子論が織りなす、戦慄のハードSF。