著者 : サラ・パレツキー
40年前の吹雪の夜、彼は忽然とシカゴの町から姿を消した…偶然のきっかけで、消えた黒人青年の叔母の依頼を受けたわたしは、昔の失踪事件を調べることになる。時間の壁だけが障害かと思われた調査だが、失踪の影にはもうひとつの事件が隠されていた。隠蔽されてきた唾棄すべき事実の露見を怖れる何者かが妨害を始め、わたしの身辺に次々とトラブルが!どんな圧力にも屈しない、V・I・ウォーショースキーの真骨頂。
料金は一日百二十五ドルと必要経費。報告書は作成しますが、調査方法の指図はお受けしませんー夜遅くに事務所を訪れた男は、息子の恋人の行方を捜してくれと依頼する。簡単な仕事に思えたが、訪ねたアパートで出くわしたのはその息子の射殺死体だった。依頼人が被害者の父親ではないことも判明し、さらには暗黒街のボスが脅迫を…圧力にも暴力にも屈しない私立探偵V・I・ウォーショースキーの熱い戦いが始まった。
V・Iの恩師、母校バーサ・パーマー高校女子バスケット部のマクファーレン・コーチの依頼が、事の発端だった。V・Iが故郷サウス・シカゴを抜け出せたのは、彼女のお陰だったのだ。不治の病を得てしまった恩師に替わり、渋々ながら母校で臨時コーチをつとめることになるV・Iは、久しぶりにサウス・シカゴに足を踏み入れた。昔と変わらない故郷の窮乏ぶりに、心が痛む。女子生徒の半分は最上級生になるまで妊娠し、多くはそのまま地元の薄給の仕事につき、同じく薄給の男と家庭を持ち、またしても同じ境遇に子供たちを送り出すのだ。現在に希望はなく、未来にも光は見えない。そんな生徒たちの一人から、彼女の母親が勤める町工場が悪質ないやがらせを受けていると相談され、V・Iはまたしても事件の渦中へと踏みこんでゆくことになる。一方で寄付の依頼に行った地元の大企業でも事件の臭いを嗅ぎつけるが…。頼まれれば嫌とは言えず、危険も厭わずに体を張ってしまう、V・I・ウォーショースキーの真骨頂。ミステリの世界を超えて頂点に君臨する、サラ・パレツキーの最新作。
恋人のモレルがアフガンへ取材にいくことになり、心中穏やかでないわたしは、保険金詐欺事件の調査依頼を受けた。どうということもない依頼に思えたが、保険代理店の店主が殺され、事件は意外な展開に。同じころ、ホロコースト体験者を名乗るひとりの男の登場に、親友の女医ロティは激しく動揺する。彼女が封印した過去に関係があるようなのだが…?現代女性の生きざまを描く、V・I・ウォーショースキー・シリーズ。
わたしが調査する保険金詐欺事件と、シカゴを連日にぎわす過激な政治運動との関連が明らかになってきた。一方ホロコーストの生き残りだという男ラドブーカに振り回されるロティは、わたしの心配をよそに、事情を語ることをかたくなに拒む。やがて、別々に見えたふたつの出来事が奇妙に絡み合いはじめ…苦い過去ゆえに心を閉ざすロティと、彼女を救おうと奔走するV・Iの女の友情が感動を呼ぶ、パレツキー入魂の力作。
現代のミステリ界は“女性ミステリの新時代”ともてはやされるほど多くの女性作家たちが活躍している。それでもなお、小説や映画にいちばん多く登場する女性のタイプは、娼婦や残忍な殺人事件の被害者というのが現実でもあるのだ。本書にはそんな間違った認識と闘い、“自分の芸術を愛する”女性作家26人の短篇を収録してある。『ウーマンズ・アイ』に続き人気作家パレツキーが編纂したオリジナル・アンソロジー第2弾。
気まぐれで、裏表がある。愚かしく、論理的思考が苦手で、肉体を武器に男を誘惑し破滅させるー。こうした女のイメージははるかな昔から存在し、お伽話や叙事詩や歴史に深く浸透している。そんなイメージに逆らい新しい女たちの物語を作ることは、とてつもない重労働である。しかしいまや、現実の社会ばかりでなく、ミステリの分野でも女性の進出が一大奔流となりつつあるのだ。女が描く女のミステリを書き下ろしで集成。
かつては「女には向かない職業」であった女探偵の細い流れは、いまでは女たちの物語という大きな奔流にまで成長した。本書には、そのブームの原動力となった女探偵V・I・ウォーショースキーやキンジー・ミルホーンを始め、素人探偵、母親、祖母、夫の暴力に苦しむ妻、ソーシャルワーカーなど、さまざまな問題に苦しみ格闘する女性たちが登場する。人気作家パレツキーが編纂した「女にふさわしい」アンソロジーの決定版。
動物が重要な役割を果たす物語は3000年前も今も同じくらい好まれている。したがって、ミステリ作家たちが動物にある種の愛着を感じ、彼らが登場する物語をたくさん書いたとしても不思議はない。犬、猫、鳥、ハムスター、蛇…。自らも大の犬好きで知られる女性作家パレツキーが、さまざまな語り口の多様な動物観と多岐にわたる短篇形式の精華を、膨大な作品郡の中から選び抜いた、動物好きには読み逃せないアンソロジー。
夜のニュースが、産科医の撲殺事件を報じていた。女医ロティのところの代診の医師だった。通りすがりの犯行でなければ、この前救急病院で死亡した妊婦の夫がギャングを雇ってうらみを晴らそうとしたのかもしれなかった。わたしはその線を洗おうとするが、そんなとき今度はロティの診療所が中絶に反対するデモ隊に襲われた。しかも、デモ隊の指導者についた弁護士はあろうことかわたしの前夫だったのだ…。錯綜する事件の向こうに何が待ちうけているのか?シカゴの女探偵V・I・ウォーショースキーの苦くハードな闘いを描くシリーズ最新作。