著者 : サリー・ウェントワース
パーディーは精悍な社長ジェアードを密かに愛していた。しかし、ジェアードはいつもふしだらな女だと嘲笑う。パーディーを、彼の甥を誘惑していると誤解しているからだ。渡された手切れ金をもらった過去はたしかにあった。でもそれは、パーディーにとってどうしても必要だったのだ。失明するかもしれない弟の治療費のために、どうしても…。ある夜、拒みきれずに、ジェアードに純潔を奪われてしまう。パーディーが身を起こすと、彼は苦悶に顔を歪めてつぶやいた。「初めてだったのに、どうして黙っていた」
由緒あるブロディ家の昼食会を訪れたティファニーは、偶然ぶつかった長身の男性の顔を見て、息をのんだ。なんてハンサムなのかしらーそれは御曹司のクリスだった。彼との会話で心弾むひとときを過ごしたティファニーだったが、運悪く玉の輿狙いの女と誤解され、たたき出されてしまう。職を失ったあと病に倒れ、貯金は底をつきかけていた。次の家賃を払ったら、本当にもう一文なしだ…。そんなティファニーの苦境を知ったクリスが持ちかけたのは、愛人にならないかという提案だった。
トレシーは金持ちの伯父一家と、南フランスへやってきた。わがままな従姉の、休暇中の世話係として雇われたのだ。実は伯父たちにはバカンス以上の大事な目的があり、従姉が未来の花婿として狙いを定め熱を上げている大富豪、クリスピン・フォクスの豪華クルーザーの後を追ってきたのだった。生粋の上流階級の男性クリスピンを目の当たりにしたトレシーは、そのゴージャスなオーラに圧倒され、つい従姉に同情した。あのような男性には、とても相手にされないのでは…。予想に反して、クリスピンは度々訪ねてくるようになる。だが彼の目的は着飾った従姉ではなく、世話係のトレシーだった。
恋人に裏切られたロミリーはロンドンを離れ、兄を頼ってスコットランド高地へやってきた。湖畔に立つ兄夫婦の屋敷が、きょうから私の家…。森や湖の美しい眺めが、傷ついた心を慰めてくれた。そんなある日、ロミリーは山頂にそびえる古城の持ち主で、魅力的な年上男性ジェームズ・ゴードンと出会う。兄はジェームズの話を聞くだけで顔をこわばらせたが、その理由はロミリーには見当もつかなかった。だがやがて恐ろしい事実が明らかになる。なんと兄の妻が、かつてジェームズと不倫関係にあったというのだ。既にジェームズを愛していたロミリーは、絶望するが…。