著者 : ジェーン・カンピオン
ピアノ・レッスンピアノ・レッスン
…エイダは9歳の娘フローラとともに、長い船旅を経て見知らぬ男のもとへやってきた、この男に嫁ぐためだった…。浜辺に降ろされたエイダの荷物のなかには彼女の分身ともいえるピアノがあった。だが、ピアノは引き取りを拒絶され、そのまま浜辺に放置される。朽ち果てるピアノの運命に耐えられぬエイダは、顔に刺青を彫った奇妙な隣人とある取引を交わす。ピアノを弾いているときだけ、好きなようにしていい…その代わりに一回ごとにピアノの所有権を私のもとに移して欲しい…。19世紀ビクトリア朝に生きた女と男の、あまりにも激しい情念の世界を比類のない詩的感性で映像化することによって数々の映画賞を受賞した名画の原案を、作者自身が大胆な筆致で小説化した異色の文学。映画では描かれなかった登場人物たちの過去の秘密、意外な素顔が、小説という表現形式を得ることによってはじめて明らかにされ、官能と真実の物語はようやくクライマックスを迎える…。
PREV1NEXT