著者 : ジャクリーン・バード
サフランはさる富豪女性の専属ビューティ・セラピストとして、エーゲ海クルーズのツアー旅行に随行することになった。青い海と空に囲まれ、開放的な気分を楽しんでいたある日、雇い主の息子でギリシア人実業家のアレックスが港に現れた。突然母親が姿を消したので、居所を突き止めて追ってきたらしい。彼はあろうことかサフランを誘拐犯扱いして侮辱したうえ、無理やり自分のクルーザーに乗り換えさせたーこうして、激しい怒りと熱い欲望を瞳にたぎらせる男との、決して逃げだせない牢獄のような旅が始まった。
訪れたバルセロナで、19歳のローズは 若き銀行家ハビエルと出会い、結ばれた。 だが、ふたりの恋が砕け散るのに時間はいらなかった。 10年後ーー従妹の婚約パーティで、 はからずもハビエルと再会した彼女は、激しく動揺する。 あのあと、ローズはせめて妊娠したことだけでも告げようとし、 彼が他の女性との結婚を控えていると聞かされて、流産したのだ。 ハビエルはローズの顔も覚えていないのか、社交的な仮面をつけ、 「お会いできて光栄だ、ロザリン・メイ」と笑顔で挨拶した。
ロンドンの大学へ進学が決まっている18歳のペニー。 けっして裕福ではない家計の事情もあり、彼女の父は広大な 敷地の一部をイタリア人実業家ソロに売却することを決めた。 ソロをひと目見た瞬間、ペニーは初めての恋に落ち、 彼からプロポーズを受けたときは心から喜んだが、 結局、ソロの隠された一面を見てしまい、涙を隠して立ち去った。 4年後、事故で父を亡くしたペニーは驚くべき事実を知る。 相続するはずの家と土地の半分をすでにソロが手に入れていたのだ。 別人のように冷酷になった彼は、ペニーに結婚を迫ると、 強引に海辺の隠れ家へ連れ去った。これはハネムーンだと告げて。 ジャクリーン・バードが描くヒーロー像は、なんといっても傲慢、冷酷、非情。それにもかかわらず、なぜこうも魅力的なのか……?その秘密が、この作品の中に隠されています。