著者 : ジュリエット・ランドン
男装をして強がってみせたところで、 きみはもう、大人の女性だ……。 今しがた求婚者を得意の剣術で負かしたレディ・ニコラは、 次に手合わせを願い出てきた相手に驚いたーーファーガス! 初めてファーガスと会ったのは、ニコラが11歳のとき。 親が決めた許婚である年上の美少年の彼に憧れていたのに、 彼は垢抜けない彼女に見向きもせず、幼い恋心を踏みにじったのだった。 12年ぶりの再会。いかにも尊大なファーガスはたくましく、 輪郭もシャープになり、片耳に耳飾りをして野性味にあふれている。 余裕でニコラを負かした彼はしかし、誤って彼女の胸を傷つけてしまう。 すると、すかさず彼女を抱き上げてベッドまで運び、宣言した! 「傷も含め、何もかもすべて、きみはぼくのものとなる」 かつて純粋な想いを傷つけられたニコラは、ファーガスとは結婚しないと心に決めていました。一方、美しく成長したニコラを目にしたとたん、ファーガスは絶対に彼女と結婚することを心に誓うのでした。大きくすれ違う二人の思惑。さて、この恋の行方は何処へ?
愛なき“救世主”にめとられ、 若き花嫁は冷たい情熱に震えた。 オリアンは18歳にして叔父から金細工の店を任されているしっかり者。 けれども今、窮地に陥っていたーー店にあったはずの貴重品が消え、 帳簿の数字が何者かの手で書き換えられてしまったのだ。 しかも、従兄がオリアンの仕業だと声高に訴えはじめた。 かわいがってくれた叔父はならず者に襲われてこの世を去り、 彼女をかばう者は誰もいないと思われたが、たった一人だけ、 領主のサー・ユーアンが救いの手を差し伸べた。 彼はオリアンを妻にする代わりに、従兄を黙らせると約束した。 でも、これははたして救いなの? 彼は唇を奪い、こう言い放ったのだ。 「両親が望んでいる孫を産んでくれれば、きみの愛など必要ない」 ひたむきな乙女を妻に迎えたいと言いながらも、そこに愛は介在しない、と冷淡な態度をとるユーアン。一度は女子修道院に逃げこむオリアンですが、ふたたび領主館に連れ戻されてしまいます。若妻が初夜に怯えている気配を察知した夫がとった行動とはーー!