著者 : ジョン・T.レスクワ
「リトル・シャムロック」のバーテンダー、ディズマス・ハーディは、地方検事局時代の同僚ラスティから、かつて二人が刑務所送りにした凶悪犯ルイスの出獄を知らされる。出所したら二人を殺すと脅して、さらに刑期を延長された男である。やがて、ラスティの愛人が射殺された。ラスティもまた射たれ、死体は海に流されたらしい。死体があがらず、捜査が進まないのに業をにやしたハーディはみずから事件解明に乗り出すが。
ハーディの若い友人エディ・コクランは、夜の駐車場で拳銃を片手に頭を撃ち抜かれ、横たわっていた。車には書き置きめいたものがあり、警察は自殺との見方を強めていた。だが、その夜彼は妻フラニーから妊娠を告げられていた。前途洋々とし幸福なはずの若い夫がなぜ自殺を?自身中年の危機にあるバーテンダーのハーディは原因調査に乗り出したが…『物的証拠』『十三人目の審判』の主役ハーディの輝かしい初登場作。
バーテンダーからサンフランシスコの地方検事補に復帰したディズマス・ハーディは、捕獲されてきた鮫の腹から食いちぎられた手首が出てきたのを目にする。ヒスイの指輪をはめた男の手だった。その後、海岸に手首のない男の死体が打ち上げられ、身元はシリコン・ヴァレーの実業家で大富豪のオーエン・ナッシュと判明。2発の銃弾を陰部の上と胸に浴びていた。ハーディは売春、盗難、麻薬所持などの些末事件の処理から、新聞の一面を飾った殺人事件を担当できると張り切る。が、被害者の愛人で元高級娼婦の日系女性メイ・シンが容疑者として逮捕され、事件がスキャンダラスな様相を帯びるとともに、主役の座を野心的な女性検事補プリョスに奪われる。しかも、情報リークの濡れ衣を着せられ、検事局を首になる。ところが、事件は意外な発展を見せ、検察側の敗北、そして思いがけない第二の容疑者の登場。ハーディは、殺人犯として逮捕された元義父-公平さを尊敬されてきた判事だが、メイ・シンと関係があった-の弁護を引き受け、自分を追いやった宿敵の女性検事補と正面から対決することになる。