著者 : ジョ-ゼフ・ウォンボ-
金持ちが集まるリゾート地、オレンジ郡ゴールド・コースト。元警官でアル中のウィニーがテスに会ったのは、酒ゆえの事故を起こし、判事にさんざん絞られてようやく保護観察になった夜のことだった。性懲りもなく足をむけた酒場のカウンターにすわっていた、美しい上品な女。事故の記事を読んで、ウィニーに興味をもったのだと彼女は言い、明るく微笑んだ。テスは、金持ちの夫と離婚し、次の結婚相手を捜している有閑マダムの一人だったが、こんないい女がなぜおれなんかを、と思う間もなく、ウィニーは恋におちていた。だが、めくるめく情事のあいまに、彼は不思議なデジャ・ヴュを何度も経験する。テスとは初めて会ったはずなのに…。
アメリカ東部の大都市フィラデルフィア近郊の、閑静な学園地区メイン・ラインの一角で女性の全裸死体が発見された。スーザン・ライナート、39歳、高校教師。一緒にいたはずの子供たちの姿は消えていた。捜査線上に浮かんできたのは、高い学歴のインテリばかりだった。ビル・ブラッドフィールドは、博識で、詩人の魂をもつといわれるカリスマ的な英語教師だったが、そのストイックな言葉と裏腹に、何人もの女性と結婚やら同棲をし、複数の恋人までいた。彼らの校長、ドクタ・スミスは変態性欲者で、また窈盗癖があった。この二人に疑惑の目は集中した。倫理なき社会病質者の犯罪を描き、そこにうごめく人間心理の不可思議に鋭く迫る、ウォンボー渾身のノンフィクション。
パーム・スプリングスの別荘から、富豪ワトスンの息子がロールス・ロイスとともに消えた。FBIの捜査もむなしく、事件は迷宮入りとなった。それから17か月もたって、ハリウッド署のシドニー・ブラックプール部長刑事がワトスンに呼び出された。行方不明になった当日、息子がハリウッドのロールス・ロイス販売店に寄ったことが今になってわかった、もう一度ハリウッド署に事件を調べ直してほしいというのだ。警察小説を書かせては並ぶもののないウォンボーが、鮮やかなプロットに深い味わいを添えて贈るミステリ。