著者 : スザンヌ・ジョインソン
カシュガルの道カシュガルの道
1923年、キリスト教伝道師として妹らと女性3人でロンドンからトルキスタン・カシュガルへと赴いたエヴァンジェリン・イングリシュは、到着早々に行きあわせたショッキングな事件のために漢人の提督によって軟禁下におかれてしまう。異教徒との対立や仲間との溝、妹の秘密ーーいろいろなことが明るみに出るにしたがって、薄紅の砂に覆われた酷暑の地は徐々に緊張を高めていく。次第に孤立していくエヴァを支えたのは、現地の若い娘が遺した幼子アイリェンを守らねばという思いと、帰国後に出版予定で構想を練っている「女性のためのカシュガル案内」の草稿だった。 一方、時は現代ロンドンーー。中東研究のシンクタンクに勤めるフリーダは、ある雨の夜、アパートの廊下で眠るイエメン人タイーブと出会う。同じころ、聞き覚えのない人物の最近親者として死亡通知を受け取ったフリーダは、タイーブの力を借りて謎の人物と自分との関係を探るうち、自分を捨てて出て行った母親と再会することに…。 ままならぬ現実にもがき悩みながらも自らの人生を追い求め、愛の意味を探りながら生きた女たち。舞台も時も越えさまざまな愛の連鎖がつながるとき、壮大な物語が広がってゆくーー。
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