著者 : スティーヴン・ドビンズ
経営難に陥った学園に校長として赴任したホーソン。性的虐待や薬物濫用で傷ついた子どもが通う学園を再建すべく、彼は改革に乗り出すが、反発する教師たちとの対立は深まっていく。そんな折り、放火で妻と娘を失った彼の悲惨な過去が何者かの悪意で暴かれ、ある教師の部屋が侵入者に荒らされる事件が起きる。やがて、ホーソンのもとに亡き妻をかたる女性から執拗な電話が!その時から、校内を死の影が覆っていく…。
首吊りにされた猫の死骸、学内の臨床心理士の自殺。さらに、プールでは首を鋭利な凶器で刺された男子生徒の死体が発見された。季節は酷寒の冬を迎え、学内で不穏な空気が高まっていく。そして吹きすさぶ雪で学園が外界と隔絶した時、女子生徒に魔手が迫り、ホーソン自身にも危険が!心に癒せぬ傷を負った人々が織りなす、悲哀に満ちた人間ドラマ。『死せる少女たちの家』の著者が、人間の心理を抉った渾身のサスペンス。
眼窩は深く落ちくぼみ、皮膚が乾ききった三人の少女の遺体。周囲に点された無数の蝋燭の光が、生気を失った彼女たちの顔に無気味な陰影を刻むー平穏に慣れきった田舎町を得体の知れない恐怖で包む連続少女失踪事件。最初に姿を消したのは、十四歳のシャロンだった。やがて届いた差し出し人不明の箱には、彼女の着ていた衣服とマネキンの左手が収められていた。住民たちは、行方不明となったシャロンの無事を願うが。
ニューヨーク州の田舎町オーリリアスで起きた連続少女失踪事件。少女がひとり姿を消すたびに、新たな箱が届けられる。犯人探しに血まなこになる住民たちは、外国人、社会主義者、同性愛者などの異質な者に不信の念をつのらせるだけではあきたらず、憎しみさえあらわにしはじめた。平穏だった小さな町の人々は、ゆっくりと、だが確実に、恐怖にむしばまれてゆく…狂気が理性を飲み込む様を冷徹に描いたサスペンスの傑作。