小説むすび | 著者 : スティーヴン・バクスター

著者 : スティーヴン・バクスター

火星の挽歌火星の挽歌

2069年2月、19年間の人工冬眠から覚醒させられた英国陸軍の元兵士ビセサは、世界が驚くべき状況下にあることを知らされた。2042年に魁種族によって引き起こされた太陽嵐を、人類は壮大な計画を実行に移して、なんとか生き延びた。だが、その27年後、人類の文明を凌駕する知識と力をもつファーストボーンが新たな攻撃をしかけてきたというのだ。Q爆弾と名づけられたファーストボーンの武器は、何年も前に太陽系外から地球をめざして進みつづけており、21カ月後には地球に到達する予定なのだった。この非常事態に対処するべく、世界宇宙評議会などの組織が動きはじめていた。冷凍睡眠施設から出たビセサは、娘マイラとともに地球外をめざす。いっぽう、過去200万年の歴史上のさまざまな時代の断片がつなぎあわされている、もうひとつの地球ミールにある神殿でも、異変を告げる事件が起こっていた。ビセサが残していったフォンが呼びだし音を鳴らしはじめたのである。バッテリー切れを起こしていたはずのフォンに、いったいなにが起こったのか…?太陽系に住む人類を襲う苛酷な試練と、その苦難に立ち向かう人々の活躍、ふたたび旅だったビセサの壮大な冒険行を、英国SF界の新旧ふたりの巨匠が練達の筆致で描く長篇SF。巨匠クラークとバクスターが、『2001年宇宙の旅』に始まる“宇宙の旅”シリーズを新たな角度から描いた“タイム・オデッセイ”三部作、待望の完結篇。

太陽の盾太陽の盾

2037年6月8日、国連平和維持軍のビセサは“断絶”と呼ばれる現象で、アフガニスタンの国境地帯からもうひとつの地球、ミールに移転させられてしまった。そこは、200万年にわたるさまざまな時代と土地がつぎはぎにされた世界だった。アレクサンドロス大王やチンギス・ハンが覇権を争うミールで5年にわたり苦闘したビセサは、なんとか故郷の地球に帰還する。ところが、戻ったのは、自分が失踪した翌日、6月9日のロンドンだった。その日、地球を史上最悪の大災害が襲った。突如、太陽が異常をきたし、太陽嵐を起こしたのだ。そのため、未曾有の磁気嵐にみまわれた地球では、あらゆる機器が壊滅的打撃をうけて大混乱となり、多数の死傷者が出た。だが、これはたんなる前触れにすぎなかった。月面にいる若き孤高の天文学者ユージーンは、さらに強大な太陽嵐が2042年4月に起こると予測した。それだけの規模の嵐になれば、地球上のあらゆる動植物はもちろんのこと、人類が生き延びることは不可能だ。そこで、科学者たちは前代未聞の大計画を企てた。宇宙空間に地球と同じ大きさの盾を設置し、太陽の巨大なエネルギーを防ごうというのだ。途方もない計画の実現に向け、科学者、宇宙飛行士が結集し、たった4年あまりで“太陽の盾”を完成させようとするが…英国SF界の新旧ふたりの巨匠、クラークとバクスターが、『2001年宇宙の旅』に始まる“宇宙の旅”シリーズを新たな角度から描く〈タイム・オデッセイ〉シリーズ、待望の第二弾。

時の眼時の眼

2037年、国連平和維持軍の英国人ビセサ、アメリカ人ケイシー、アフガニスタン人アブディカディルは、パキスタンとアフガニスタンの国境地帯をヘリコプターで監視飛行中、ゲリラの攻撃を受け、見たこともない砦の近くに不時着する。そこは、1885年の大英帝国領インドのジャムルド砦だった。砦には、英国将兵のほか、アメリカ人記者ジョシュ、のちに大作家となる若き英国人記者キプリングがおり、百万年前に絶滅したはずの猿人までが捕まえられていた。さらに、紀元前4世紀のアレクサンドロス大王の軍団が砦に迫りつつあった。いっぽう、2037年に国際宇宙ステーションからソユーズ宇宙船で帰還中の宇宙飛行士たち、ロシア人のムーサとコーリャ、アメリカ人セーブルは、通信途絶のため地上からの支援が受けられなくなっていた。やむをえず自力で着陸した三人が到着したのは、チンギス・ハンの支配する13世紀のモンゴルだった。地球は恐るべき天変地異「断絶」により、200万年にわたるさまざまな時代と土地がキルトのようにつぎはぎされていた。しかも、その異変とともに出現した無数の銀色の球体“眼”が、すべてを観察しているかのように空中に浮かんでいる。この“眼”の正体とは…そして「断絶」はなぜ起こったのか?英国SF界の新旧ふたりの巨匠、クラークとバクスターが、『2001年宇宙の旅』に始まる「宇宙の旅」シリーズを新たな角度から描く「タイム・オデッセイ」シリーズ第一弾。

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