著者 : スーザン・スペンサー・ポール
修道院の中で夢見ていたのは、 形だけの結婚なんかじゃなく……。 リリスは10年暮らした修道院を出て、故郷に向かっている途中で、 双子の悪童にさらわれ、見知らぬ城へと連れていかれた。 理由もわからぬまま物置部屋に囚われ、リリスは困惑した。 父の決めた許婚と結婚するため実家へ戻るはずが、なぜこんなことに? やがて姿を現した城の主は、ガイアの領主アレクサンダー。 その大柄な美丈夫の騎士を見て、リリスは思わず身を震わせた。 聞けば、リリスの故郷の川下にあるこの地では、彼女の父が上流を 堰き止めたせいで、暮らしが成り立たずに領民が苦しんでいるという。 くだんの上流の土地がリリスの持参金と知ったアレクサンダーは、 断固として宣言した。「結論を出したーー私とそなたは、結婚する!」 修道院を離れてようやく自由になったとたん、囚われの身になる不運に見舞われたリリス。強引なアレクサンダーに反発を覚えながらも、運命を受け入れるしかないと悟った彼女は、花嫁衣装に身を包みますが……。鮮烈かつ伝説的なドラマティック・ヒストリカル!
美しく礼儀正しき貴公子の正体は、 手並み鮮やかな“花嫁泥棒”-- 4年前、父が命を奪われた日を境に、イザベルの運命は一変した。 母があとを追うように亡くなると伯父に引き取られたが、 美しくも性悪な従姉にいじめられ、召使いのようにこき使われていた。 ある日から、従姉のもとに求婚者ジャスティンが日参するようになる。 聞くところによると、彼はひと月以内に婚礼の儀をあげなければ、 いま治めている領地も城も没収されてしまうのだという。 好条件を引き出そうと返事をもったいぶる狡猾な従姉のかたわらで、 イザベルはこの礼儀正しい貴公子に淡い恋心を抱くようになっていった。 だが残り2日に迫った夜、とんでもない事態に巻き込まれるーー 粗末な小部屋で眠るイザベルを、ジャスティンが強引に連れ去ったのだ! くる日もくる日も疲れ果てるまで働かされているイザベルに狙いを転じたジャスティン。よそで奴隷のように扱われている彼女の弟も引き取ると約束して、結婚を申し込みます。彼の大胆な実力行使に呆然としつつも、イザベルは弟のために一世一代の決断をし……。