著者 : スーザン・ネーピア
暗闇のエンジェル暗闇のエンジェル
ウエディング・ドレスの仮縫いの最中、ふいに玄関のベルが鳴る。 脳腫瘍の手術を終え、結婚を間近に控えたヘレンが扉を開けると、 そこには婚約者の兄、精悍な印象のアレグザンダーが佇んでいた。 目が合って、視線が絡む。思わず吸い込まれそうな気がした。 「ヘレン。ようやく見つけた、僕のエンジェル」 なぜ懐かしそうに見つめるの? 会うのは今日が初めてなのに。 からかわれているのだろうとヘレンは思っていたが、 やがて、鋭い痛みが頭の芯を走り抜け、予期せぬ怯えが走った。 手術で失ったのかもしれない、記憶の奥に潜む、愛の予感にーー
言えない秘密言えない秘密
小さな宿を営むジェニファーは、人工授精で子供を産む条件で 余命幾ばくもない年配の資産家セバスチャンと便宜結婚した。 後継者が欲しいのに病気でそれが叶わない彼と、 結婚はあきらめていても子供の欲しい彼女にとって、都合がよかったから。 ただ……その精子提供者が問題だった。 やがてセバスチャンが亡くなり、まもなく彼の息子レイフが現れた。 長身で、父と同じく億万長者の彼の言葉にジェニファーは震え上がる。 「君のおなかの子供の父親が僕だってことは、知っているんだ」 彼が精子提供者だということは、秘密のはずだったのに……。 レイフはなんのためにやってきたの? まさか、私の子供を奪いに? 〈ロマンス・タイムマシン〉と題してその年の名作をお贈りする企画、1999年は、ハーレクインの黎明期に大人気を博したベテラン作家、スーザン・ネーピア。代理母という先駆的なテーマにロマンチックなエピソードをちりばめた逸作です。
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