著者 : ソーントン不破直子
鎌倉山奇譚 水琴窟の館鎌倉山奇譚 水琴窟の館
知らないのは、人間だけー。どのくらい時間が経ったか分からなかったけど、急に目が覚めた。何かを聞いたのだ。ガラス戸からの薄明かりの中で、息を殺して聞くと、確かにカローン、カローンという音がはっきり聞こえた。「何、これ」と、寝たまま、天井に向かって小さな声で言ってしまった。「うん、何だろう」トトの声が斜め上から聞こえ、彼がすでに窓際に立って外を見ているのが分かった。音はだんだん大きくなり、違う音も混ざってくるような気がした。絶対にこの家の中から聞こえると思った。
ユードラ・ウェルティーの世界ユードラ・ウェルティーの世界
ウェルティーの全作品を系統的に論じた、わが国最初の書。現代のミシシッピー州ーこの狭小な時と場所に生きる名もなき人々を通して、人類の歴史と宇宙の星々にまで及ぶ、壮大なイメージを展開させるウェルティー文学の真髄に迫る。
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