著者 : ゾラ・ニール・ハーストン
マグノリアの花マグノリアの花
ハーストンは現代の多くの作家たちにインスピレーションを与えた作家でありかつ文化人類学者。アフリカ系アメリカ人女性としての精神や物語の手法は、多くの作家が受け継ぎ、作品に活かされた。彼女には長編『彼らの目は神を見ていた』があるが、その魅力に手軽に触れることができるのが、ここに集めた短編である。表題の「マグノリアの花」は、川が語るという形式をとった民話のようなつくりで、冒頭から詩的で絵のような情景に引きこまれ、人物描写も戯画的な部分がある。しかし父娘の衝突や民族を取り巻く複雑な感情の描写、情感の把握の確かさ、そして民族の歴史をふまえた作家の意識が見られ、たんなる民話とはかたづけることができない。
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