著者 : チャン・ガンミョン
ソウルのセヨン高校で給食費の横領事件が発覚。 動揺する学生たち、加熱するマスコミ、事態を抑え込もうとする教師たち、迫る大学入試……。 追及の先頭に立つ級友とともにビラまきをおこなった3年生のジェムンは、学校に対する怒りと、大学入試に影響が出ることを心配する母親との間で揺れていた。 不正義に直面したとき、私たちは立ち向かうことができるのだろうか? 大人の不正義をめぐって若者たちのさまざまな思いが交錯する表題作をはじめ、職場、就職活動、フランチャイズ店舗、ストライキ現場などで“希望”を求めて闘う人々が交差する10編の連作小説。 元新聞記者として現代韓国社会のリアルを鋭く見つめてきた気鋭の作家が贈る、闘いと希望の書。 ーーーー ここに登場する“働く人”は、私であり、あなただ。 私たちはこうやって行き過ぎた競争に極限まで追い詰められてきたと、何度も頷いた。 最低賃金で働き、家賃の安いアパートを借りるにも障壁があり、住んで、食べて、働く、という生きる基本が侵され続けている。 「でも、それ、間違ってる」 読みながら、そう確信させられた。その確信は抗い、変えようとする大切な第一歩だ。 あきらめるな、働く私たち! ーー和田靜香さん 激推し 鳥は飛ぶのが楽しいか 目次 日本の読者へ 第1部 切る バイトをクビに 待機命令 工場の外で 第2部 闘う ヒョンス洞パン屋三国志 人の住む家 カメラテスト 対外活動の神 第3部 耐える みんな、親切だ 音楽の価格 鳥は飛ぶのが楽しいか 作家の言葉 訳者解説
「北朝鮮の現政権が勝手に崩壊し、統一過渡政府が樹立する──。」 韓国で理想的に語られる筋書きが現実化した後の朝鮮半島を描いた近未来ディストピア小説。 北の社会の実情をリアルに描き、読者を一気に引き込む話題作。映画化も決定! 《我らが願いは…………統一》 北朝鮮の現政権が勝手に崩壊するという、韓国にとって理想的なシナリオが現実のものとなった朝鮮半島。しかしそこには、いまだ統一国家が成立してはいなかった。 一般人の南北間の往来は禁じられ、朝鮮半島北部は無能な「統一過渡政府」のもと、貧困と暴力が蔓延し、麻薬組織が暗躍する無法地帯となり果てていた。 つい何年か前まで、最も理想的と謳われていたシナリオ。それがいざ現実のものとなるや、餓鬼と修羅の跋扈する畜生道への扉が開かれたのだ。