著者 : デイヴィッド・ミッチェル
1984年夏、英国グレイヴゼンドのパブの娘ホリー・サイクスは、母との喧嘩で家出したある日、老婆エスター・リトルと出会い、不思議な約束を交わす。1991年、ケンブリッジ大の小賢しい学生ヒューゴ・ラム、2004年、イラク戦争を取材する仕事中毒のジャーナリストエド・ブルーベック、2015年、才能の枯渇した作家クリスピン・ハーシーー彼らはそれぞれの日常の中で、ホリーとのささやかな邂逅を果たし、いっぽうホリーは彼らと交差する人生の背後で、“時計学者”と“隠者”との永遠に続く戦いに巻き込まれていく。そして2046年、自然災害が頻発するディストピアと化したアイルランドで、死を前にして静かに暮らすホリーは、ボーク・クロックス“骨でできた時計”の意味を悟るー。ひとりの女性の人生を舞台に、6つの物語が展開する壮大なるサーガ。世界幻想文学大賞受賞。ブッカー賞ノミネート。
寛政11(1799)年5月9日、若き産婆・藍場川織斗は長崎奉行の愛妾・川蝉の息子を難産の末、無事取りあげる。一方、オランダ商館に赴任した事務員ヤコブ・デズートは、商館長の懐刀として活躍しながら、淡い恋心を織斗に抱く。ペリー来航に先立つ1800年代前後の長崎出島を舞台に、オランダ商館長フォルステンボース、博識かつ公正なる医師マリヌス、新時代を夢見る通詞・緒川宇佐衛門、不知火山の比丘尼坊を支配する峡河藩主・榎本僧正のほか、杉田玄白、前野良沢など、虚実ないまぜののありうべき物語が華麗かつ自在に繰り広げられる。日本にも馴染みの深い著者による、ブッカー賞最終候補の最高傑作、ついに刊行!
邪教の寺に囚われた織斗は、猫の道から脱走を企て、ヤコブと緒川宇左衛門は、織斗の救出を計画し、イギリスの軍艦は、オランダ利権と銅の略奪を狙う。江戸時代の長崎・出島を舞台にしたベストセラー。