著者 : デ-ヴィド・E.フィッシャ-
CIAを引退し、身辺警護コンサルタントをしているナーマンは、ホロコーストを生きのびたユダヤ人で、ナチ・ハンターとしてその名を轟かせていた。ある日、彼のもとにドイツ連邦情報局のフォアシャーゲが訪ねてきた。殺し屋がナーマンを狙っているから気をつけろというのだ。殺しを命じたのは、なんと現ドイツ首相ヴァルトナーだという。
1990年夏、シリア人パイロット、モハメド・アスリが偽造パスポートでニューヨークに潜入した。ある大きな陰謀に参加するためだった-アメリカ大統領に関わる、かつてない大胆不敵な陰謀に。1986年のアメリカのカダフィ襲撃に対する報復に何度か挫折したリビアは、ひそかにある計画を進めていた。ブッシュ大統領を誘拐して人質にとり、アメリカ側の非を世界の前に認めさせようというのだ。実行者に選ばれた男は、なんとアメリカ人だった。ジー・ハーディ-元海兵隊の凄腕パイロット、元傭兵、現在は麻薬密輸業者。『偉大なるギャッビー』にちなんで″ジー″とニックネームをつけられた魅力的なこの男は、自らのヴェトナム体験と息子の非劇的な死によって、アメリカ政府に深い憎しみを抱いていた。5千万ドルでブッシュ大統領誘拐を請負ったハーディは、周致な準備工作にかかった。
秋の議会選挙の大統領遊説に照準を絞ったハーディは、リビア側にも計画の詳細を知らせずに着々と準備を進めた。大統領専用機エアフォース・ワンが彼の狙いだった。いかにして空飛ぶホワイトハウスを襲うつもりなのか?ボーイング707を手に入れ、アスリに戦闘機訓練を課し、亡命キューバ人グループと接触し、サンフランシスコにマンションを借り-こういった下工作がどう結びつくのか?意表をつく鮮やかなプロット、スリリンぐな航空シーン、追う側と追われる側の男たちの不屈の闘志。すぐれたストーリーテリングと該博な知識を持つ作家と、元エアフォース・ワン機長の、みごとなパートナーシップが生んだ航空冒険巨篇。