著者 : パコ・イグナシオ・タイボ
影のドミノ・ゲーム影のドミノ・ゲーム
軍楽隊の演奏が山場にさしかかったとき、ふいにトロンボーン吹きの軍曹が射殺された。数日後、今度は同姓の大佐が墜死を遂げる。曰くありげなこの事件に挑むのは四人。新聞記者、詩人、弁護士、中国人ーいずれ劣らぬ個性派が、ドミノの卓を囲みながら謎の核心に迫っていく。革命の記憶さめやらぬ1922年のメキシコシティを舞台に男たちの闘いと友情を活写するユニークな冒険譚。
三つの迷宮三つの迷宮
五十八年前、農園で待ち伏せにあって殺されたのは、メキシコ革命の英雄サパタではなく、別人だった。ついては、サパタの現在の居所を突き止めてもらいたい…。探偵エクトルは、顔に傷のある男から依頼をたんなる妄想として片づけようとした。だが、彼が断わるまえに、男は金をおいて雨の中に消えていた。この雲をつかむような話が呼び水となったかのように、エクトルのもとには、たてつづけに調査の依頼が舞いこんできた。まずは映画女優から、娘の様子が最近おかしいので原因を探りだしてくれといわれ、ついで鉄鋼会社の社長から、労働争議で揺れ動く工場で起きた殺人事件の調査を頼まれたのだ。どちらとも引き受けたエクトルは、危険が待ち受けているとも知らずに、三つの事件の渦中へと飛びこんでいった。ハメット、チャンドラーの世界を現代のメキシコシティに甦らせ、絶賛を浴びた、話題のハードボイルド。
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