著者 : ヒラリイ・ヘイル
殺人を犯したことは1度もない。だが自らの手で正義の裁きを行なったことはある。8年前のことだ。大叔母のエマが怯えきった声で、同居している妹夫婦が自分を精神病院に追いやり財産を奪おうと画策していると電話してきた。あわてて駆けつけた私が目にしたものは、なんと頭を吹き飛ばされた大叔母と床に転がる拳銃だった。妹は自殺だと主張したが…。女の冷酷な復讐劇を描くエリザベス・フェラーズの表題作をはじめピーター・ラヴゼイ、マイクル・Z・リューインら現代イギリス・ミステリ界を代表する気鋭9人がものした傑作書き下ろし短篇集。
妻の49回目の誕生日に、わたしは妻を殺した。結婚してからひと月とたっていなかった。当年とって28歳のわたしが、20も年上の独身女と結婚したのは、もちろん金が目あてだ。だが、せっかく遺産を手に入れても、自分が捕まってしまっては元も子もない。綿密な計画のもとに、殺人を実行したのだ。そして、すべては順調に進んでいたのだが…。妻殺しをたくらんだ結婚詐欺師の唯一の誤算とは?上記シリア・フレムリンの「最後の土曜日」はじめ、ピーター・ラヴゼイ、パトリシア・ハイスミスら、現代イギリス人気作家10人の傑作書き下つし短篇を収録。
2度目のハネムーンだと喜んで出かけたパリで、パツィー・ベルマンは死んだ。なぜか、夫妻の車に爆弾が仕かけられていたのだ。妻を失ったロジャーの悲しみは大きかった。事件は折りしも頻発していた爆弾テロの一つと判明したが、ロジャーはやがて、恐ろしいことに気づいた。妻の姉、弁護士、彼の秘書までが、莫大な財産を相続することになった彼を、妻殺しの犯人だと疑っているらしい…。小さな疑惑が皮肉な結末を招く上記アン・モリスの「列車で出会った若い男」をはじめ、サイモン・ブレッド、B・M・ギルらの傑作書き下ろし短篇11篇を収録。