著者 : フェイ・ケラーマン
彼女は脱ぎ捨てられた服のように横たわっていた。ライラ・ブレヒトー往年のハリウッド女優を母親にもち、みずからは高級フィットネス・クラブを経営する美貌の主。現場に到着したデッカーは、レイプ及び盗難の被害者となったライラの纏う尋常ならぬ空気に当惑しながら捜査を開始するが…。スリルに富む展開と、異常な家族を中心に織りなされる謎とで、読者を魅了する第五弾。
深夜。丘陵地帯を車で流していたデッカーは、不審な動きに目をとめた。甲高い泣き声に導かれ、彼がいきついたのは、深閑とした新興団地でひとりシーソーに乗って遊ぶ、幼子の姿。性別は女、身につけたパジャマは血まみれだったが、虐待を受けた形跡はなく、翌日行なわれた聞き込みでも、身元を知る者は現われない。これはいったい…。重厚な物語が展開する、出色の第三弾。
発見された団地でないとしたら、赤ん坊はどこに住んでいたのか。試行錯誤をへて、デッカーたちはついに一軒の家に到達したが、そこに待ち受けていたのは凄惨な四重殺人の現場だった。粘り強い捜査活動の果てに焙りだされた歪んだ心の形とは…。奥深い謎を追いながらも、愛するリナの身を気づかう刑事デッカー。エモーショナルかつ猥雑に語られる、忘れがたいシリーズ第三弾。
静まり返った森の一画で、二体の黒焦げの人骨が発見された。司法歯科医による鑑定の結果、かたや中流階級、かたや下層階級出身の少女の骨らしいことが判明する。おそらくはかけはなれた人生を送っていたはずのふたりの少女。それが、どうして同じ場所で、こうした最期を迎えることになったのか?デッカー刑事の悪戦苦闘の日々が始まる。好評『水の戒律』に続く迫真の第二弾。
夏の闇をついて一件のレイプ事件が発生した。現場は、地元民がほとんど足を踏みいれることのないユダヤ人コミュニティ。厳格な戒律に従って敬虔な毎日を送っていたはずの彼らが、なぜこのような事件を引き起こしたのか?立ちはだかる宗教の壁を前に、未成年犯罪担当のデッカーは困難な捜査を強いられるが…。マカヴィティ賞最優秀処女長編賞に輝く、スリリングなデビュー作。